せんくつにっき

思うこと、感想、とかとか

僕の心のヤバイやつ感想『僕は山田と』

・もうあれですよ、タイトル見た時点で「これは(神回)キたな・・・・・・」だったし、実際神回だったし。5巻ラストはここかな? 4巻ラスト付近では自分の感情(「好き」)を口に出して、今回で欲望を口に出した。両方市川の中にはずっと存在してたことだけど、内心とその自認、そして発露(あるいは表明)との間にはそれぞれ大きな距離があり、つまり市川はまた大きな一歩を踏み出したのだ。おねえはいいこといいますね。

mangacross.jp・山田母はほとんど攻略(公認)済みと見ちゃってもいいだろうか。まあ母はおおむね娘の恋路には協力的なもので、障害はいつも父親だ。山田父がじゃあ「認めんぞ俺は!」ムーブをするかってそれもわかんないけども。山田父、前回の感じからすれば市川自体へはそれなりの好感を持ってそうではあるけど、そこに「娘の彼氏候補」という視点が入っていたかどうか。

 

・市川は酒に弱い。たぶんそう、部分的にそう。さすがに甘酒で酔っ払っちゃったってわけじゃなく(いやわかんないけど)、どっちかってぇと初めての真面目な「恋バナ」の雰囲気に口が回っちゃったんじゃないかな。濁川くんは結局自分自身で自問自答だから。市川、自制心が多少過剰だから結果的に口数が少なくなってるだけで、いつものモノローグの感じから見るに市川自体はたぶん本来多弁な方なんだけど、話して良い(あるいは話すべき)相手・場所だとその自制心が外れる感じ。姉弟仲がよろしくてなによりだ。そんで、表明に慣れてないから良い意味でも悪い意味でも言葉を選ばず、モノローグをそのまま口に出す。そういやおねえの前ではデフォで「僕」だっけ?

 

・前置きはそこそこにして、頭っから行きましょう。個人の感想です。、

 

・試作会の夜、冒頭おねえ。おねえは本当に良いリアクションをしますね。なんかこう、動かしやすそう。「キ」はまあ、スキの「キ」じゃないでしょうかね。山田に手ずから渡されたんならほぼ間違いなくそうだよ。

 

・おねえが必死にバイトしてる間、弟はハーレム状態となっていた・・・・・・! おねえがおにいだったら一発しばかれててもおかしくないですね。理不尽だが、兄弟とは常にそういうものなので。しかしこのハーレムの主市川(イメージ)、絶妙に腹の立つ顔をしている。

 

・山田より着信アリ。ほんと「忙しくなってきやがって・・・・・・」だよ。しかしこのコマの扉、でかくね。

 

・市川による山田両親の印象・・・・・・というか男友達に両親の印象聞くか普通? いや、山田の中では市川は単なる男友達ではないし、山田は普通じゃないし・・・・・・で解決するけども、しかし付き合ってもない状態でそれを聞くために電話するの、取り繕いがなさ過ぎる。まっすぐいって右ストレートだ。

 

・「見た目は怖いが中身は優しくて大人で、山田の親って感じ」、うーん、6割方くらい告白じゃないですかねこれ。「山田を育てた親って感じ」ともとれるし、親と同時に山田を褒めているように見える。

 

・山田回想、パパ帰宅。好きピが父に気に入られて喜ぶ山田、これも取り繕いがなさすぎるというか、今日は浮かれてんなって感じですね。可愛らしいし中学生らしくて大変よろしいかと。ぴょんぴょんしやがって。そんで冒頭にも書いたが、山田母は山田の気持ちに気づいてる模様。見た目に反したポンコツキャラが浸透してきたとこにこの「大人」な察し力。

 

・気づいてても言わないこの山田母の振るまいもそうだし、山田フレンズも、おねえもそうなんだけど、二人への干渉の仕方が絶妙でいいんですよね。ちょうどいい。あんまり干渉してこられても嫌だし、さりとて不自然なほど干渉しなかったり、物語の中のキャラなのに傍観者を徹底しだすのもなんかなーって思ってしまう面倒なオタクなので。

 

・【悲報】山田くん、市川くんだった。「市川のこと?」の山田父の顔と、部屋に向かう背中が露骨に沈んでるのに笑う。娘の体操服を着てマンションから出て行ったあの男の子は、娘ととても仲のいい男の子で、親に秘密で家に上げた過去がある。エラい勘違いをしてそうで笑うが、よく考えたら親に秘密で家に上げたのは真実だし、風呂に入って市川からハグしてベッドに入ったという事実もあるので、言うほど勘違いでもあったりなかったり。ほんとこの二人は「付き合ってないだけ」みたいなとこあるな・・・・・・。告白秒読みのカップルのそれ。

 

・「また来てね」の山田、なんかいいですね。表情もそうだし、髪にスマホのってるディティールとかか、お誘いは緊張するから手遊びしてるとことか。市川はそれどころじゃないので断ってしまいましたが・・・・・・馬鹿野郎!

 

・居酒屋おねえ。甘酒とストゼロで乾杯。予告でもあったが、ストゼロ・・・・・・。いや、ストレスため込んでのストゼロならともかく、晩酌のための晩酌なら、まあストゼロが一番「それっぽい」から選んだだけな気がするけど。

 

・おねえのドストレート。市川ももう、山田が好きなことは気づかれてるもんとして誤魔化さないんすね。中学生男子にしては素直だが、市川の美徳だ。まあ萌子相手にも似たようなスタンスだし、今さら隠さないか。言いふらしはしないけど、明確に気づかれたら否定もしない。

 

・「適当言った」とか「ムリに背中押したくない」とか、この辺の距離感なんですよ。おねえからしたら市→山どころか山→市の感情も確信レベルで気づいてるわけ(脈しかない!)で、つまり「いけると思う」が本心、「適当言った」こそ「適当言った」なんですよ。けどそれは市川には言わない。たぶん、さほど深い考えがあってのそれではないのだろうけど。

 

・中学生で、成長期。体は子どもから大人に変わっていくし、心も変わっていく、今好きなことが未来も好きなままかどうかはわからないし、好きな人だってそうだ。文脈からしたら、おねえとしては「心が変わりやすい時期だから急いだ方がいいとも考えれる(かも)」だけど、市川がどう受け取ったか。

 

・思い出すのはいつかの帰り道。ここの解釈が難しいな。自分とは違う世界の、モデルの仕事を「好き」と言った山田。改めて山田との間に横たわる距離を感じた、ほろ苦い出来事だったけど、あの山田の「好き」が変わって、モデルの世界から降りて、自分と同じ世界で生きてくれるようになったら、そしたら・・・・・・ということを考えたのかと思ったけど、一方で、市川はその山田のモデルへの想いを眩しく、好意を持って捉えてもいたはずで、あの「好き」が無くなることを悲しくも思うはずで。

 

・根拠はないけど、ずっと山田が好きだと思う。年長らしく恋のアドバイスしていたおねえ(彼氏なし)に大ダメージ! そらおねえもこんな顔になるわ。ほんとなんてこと言いやがるこのやろう。山田に言え。

 

・山田は凄くて、いろんなものを愛せる側。自分は凄くなくて、少ないものしか愛せない側。僕は山田をずっと好きだけど、山田は僕のことをきっと忘れる。ここまでのネガはモノローグでさえ珍しくて、だからこそ本心なんだろなと。こう、我にすべての弱さありと言わんばかりで、ある種の傲慢さすらあり、心配というかおねえのように呆れるような言動だけども、ぜんぶ「そんなのいやだ」に繋がる『から』表明できたんだろう。山田といたい自分、山田が共にいない未来をいやだと思う自分を認められたから、自分のなかにこんな一方的な悲観があることも認められたのかなと。

 

・市川がネガティブなこと言ってるあいだ、山田はせっせと「スキ」の「ス」を作って・・・・・・浮かれすぎじゃない?この子。あまりに対称的。まあ、将来のことだの「好き」が変わるだの、そんなことは今の「好き」になんの関係もなく、恋を止める理由にも留める理由にもなりはしないのだと、山田のこのひたむきさからはそんなメッセージを感じたり感じなかったり。

 

・自分がどうしたいか、まずはそこから。おねえとの恋バナを経て、ついに口に出せた願望。恥ずかしくなってんじゃないよもう。いやあ神回。ようやっと市川が「付き合いたい」と思えたと。だからここから第一歩が始まると。すごくいい話だけど、気になる点としては、ずいぶん前から傍から見ればもう付き合ってるようにしか見えないことなどがありますね。

 

・最後のページの「どーしよ」の山田の顔、私の見方が悪いのかも知れないが、どうしても市川からの「やめたら?」待ちにしか見えない。かーっ!見んね萌子!卑しか女ばい!

 

・とりあえずここまで。