せんくつにっき

思うこと、感想、とかとか

僕の心のヤバイやつ感想『僕は僕を知ってほしい』

・「ありがとう」を伝えるために。

mangacross.jp

・なるほどね、新学期登校初日っからこういうことがあったから、ツイヤバ『??』であの距離感だったと。同じ日だったらあれだな、山田的には「今日すごいグイグイ来る……!」ってなってそうだな。市川から触れてくるなんてそうそう……いや、なんだかんだクリスマスでも大晦日でもやってましたね。市川はスケベ。

 

・校舎裏でこんなんするのに付き合ってないって、ちょっとよくわかんないですね。告白以外の全てをするつもりか?

 

・市川から山田に「ありがとう」って今まであったんだっけ? 純粋な疑問として。言ってたからどうも言ってなかったからどうもないからね。重要なのはその言葉じゃなく、鎧を脱いで心をさらけ出したという事実だ。そんな感じで頭っからいきましょう。個人の感想、考察です。

 

・初手回想。大方の予想を裏切らず、友人たちの行った私立には落ちてしまっていた市川。大きな挫折。友人の「中学行っても〜」に対してすでに無感動なのはどうだろう、どうせ疎遠になると思ってるからか。何にせよこの時点で心に鎧を纏っていて、そして進学した先でそれを表に出し始めたと。髪型にも現れている。

 

・節分のツイヤバでは幼少期からそういうケ(グロ系に対する耐性というか興味というか)があったことが描かれていて、だからまるっきり鎧のためだけの偽の趣味というわけではないのだろう。小学校のときも密かに楽しんでいたのかもしれない。ただ、だとしてもたぶんそれを人前で出せば引かれることも理解していただろうし、だからこそ鎧として選んだ。

 

・そうやって振る舞い、思惑通りにクラスメイトから引かれた瞬間が、しかし夢に見るような記憶だってのはめんどくさい自意識だけどわりと共感できる。人を寄せ付けず、馴染めないことの言い訳のための鎧としては選んだけど、同時に偽りのない自分でもあるから、それを明確に拒絶されるのは堪えるし、衒いもなく受け入れてくれたら嬉しい。前回の山田はなんだかんだ市川にクリティカルを出していた模様。

 

濁川くん登場。半裸なのは『市川自身が心をさらけ出したいと思っているから』とのこと。な、なるほど……深い……。……ホントか? いうほどなるほどか? なんか丸め込まれてないか? 「市川のもいいけど、たまにはガタイのいい半裸の男も描きたい」とかじゃないのか? いろんな角度で描いてるしよ。

 

・自問するときなんて、ほとんど自分の中で結論が出ているときだろう。「それでいいんだ」と誰かに背中を押してほしいから、その誰かを自分で作り出す。

 

・自転車に乗れないので車登校。あれ? ツイヤバだと帰りは歩いてたよね? 親のパートだので時間の都合が合わなかったか、山田と帰るために断ったかの二択ですね。当然後者にBET。「都合をつけてくれようとしたけど、友達と一緒に帰るからいいと断って、あっさり山田のことだと見破られる」の複合形でも可。

 

・「よっと」だけでご機嫌具合が分かるとは、さすがの姉。ガラスにうつる自分の顔見て「(そんなことな……そうかも……)」ってなってる市川の顔が丸くて可愛い。ついでに「よっと、だって」のおねえの横顔がなんか福満しげゆき作品のキャラっぽい。鼻のとんがり具合か?

 

・山田登場。こいつもご機嫌ですね。わざわざ待ってるわ車の影に守備よく隠れるわのこの感じ、前日に「登校どうするの?」「車で……」みたいなLINEのやりとりがあったんだろうな。ついでにおねえとも交流してるし、山田はここんとこずっといい空気吸ってんな。心臓を捧げるな。あれ? というか駅で降りてないのおねえ? 洗足以外の駅のことか?

 

・折角のお揃いストラップを付けてない! なぜ! ってなる山田、可愛いの一言。勝手に名前つけてるのはわかんないけど。自分じゃ付けれないけど一応持ってきてる市川も可愛い。お前期待してたろ。あとあれ、ストラップを確認する←まあわかる、可愛い。 付けれないけど持ってきてる←わかる、可愛い。  とりあえず校舎の陰に移動する←ワカラナイ。しかもこれ市川から移動してるっぽいし! お前「いいって……!」とか言ってっけどわかってただろ!

 

・そんでつけるのが首元て……。どういう心理だ。仕留めた獲物に印をつけるマタギめいたあれじゃなく、「ネクタイつけてあげてる奥さんみたい!」であってくれ。頼むから。こっちもそう受け取ってニコニコするから。

 

・市川による自分語り……というか、お宅訪問の時に伏せ、山田も踏み込まなかった内容に関する、ある種の告白。学校が嫌で、理由もなく休んでいた。林間学校も行かなかった。山田からすれば(おそらくだけど)真にはわからない内容だろう。山田にとっては学校生活も林間学校も基本は『楽しいもの』だろうから。そうでなくとも他人同士の理解には限界があり、わからないものに人はどういう態度を取るのかも、市川はわかっている。だから語るのが「怖い」。

 

・だけど市川は告白した。理由は堂々と書いてある。「ありがとう」が言いたかったからだ。昔は学校が嫌だったけど、山田のおかげで最近は楽しい。持っている感謝を全部伝えるために「学校が嫌だった」を省くわけにはいけない。理解されないかもしれなくて怖いけど、そんなことで「ありがとう」が消えるわけじゃない。

 

・心をさらけ出したのは、それが目的ではなく、理解してほしいからでもなく、ただ最大限の「ありがとう」を伝えたいから。市川の誠実さが光る。

 

・この「ありがとう」がほんとにジンとくるな。3回も言ってるのは「(単に本を拾ってくれて)ありがとう」、「(学校を楽しくしてくれて)ありがとう」「(受け入れてくれて)ありがとう」とか考えたけど、無粋ですね。

 

・『鎧』を纏ったことを、市川自身はたぶん後悔していた。自分が傷つきたくない一心で、ただ愚かなことをしていたと。だけど、山田はそんな市川も肯定した。学校が楽しいのは誰のせいでもなく、辛い中でも学校に来ていた市川のおかげだと。ここが今回の話で一番好きなところだ。辛いときは逃げていい、自分を鎧で守ってもいい。市川はそれを弱さだと思っていたけど、そんなことはないんだと、そうやって自分を保護してやったことこそが、学校が楽しいという今に繋がってるのだと。山田の言葉は市川にそれを気づかせた。こうなると市川は「殺人の人文学」にも「ありがとう」を言っているように見える。今まで守ってくれて。

 

・そして、もう学校は楽しい。厨二趣味を鎧として使うことは、たぶんもうない。山田に抱かれたコマで本を手放してるのは、そういうことを示しているのだろう。たぶん。

 

・山田の「よしよし」から溢れる母性よ。彼女気取り、奥さん気取りの次は母親気取りかぁ? って茶化しは置いといて。なんだって急にハグしたんでしょうね。市川が自分のことを語ってくれたのが嬉しかったから……ではなさそう。市川が鎧を脱いで心が寒そうだから……とか考えたけど、なんか洒落臭い言い方ですねコレは。もうちょっと良い表し方あるだろ。

 

・市川が「学校が楽しい」と言ってくれことは嬉しいのだろう。そういう表情を山田はしている。一方で、それを山田のおかげだと言う市川には、そうじゃないと思うよと返している。市川の自己評価がどうやら低いことを山田は理解しているようで、ここで「山田のおかげ」を受け入れるのはそれを助長するのでは、と、そこまで考えただろうか。市川自身のおかげ、が本心なのは間違い無いと思うが、その上での話。

 

・P11、3度目の「ありがとう」の次のコマで、山田が市川を見ている。単にハグを返したことに驚いたのかと思ったけど、コレもしかして市川ちょっと泣いてたりする? 流石にないか。萌子が気づくだろうし。

 

・目を合わせず、なんか互いにソワソワしてて、だけど絶対離れない。冬休み前なら山田の友達が近づいたら市川がそれとなく離れてたのに、それをしない。ヤッてますねコレは。肉体的にはともかく、精神的にはもうヤッたも同然ですよ。大晦日でまだ付き合ってなかったはずなのに、萌子の衝撃は計り知れない。

 

 ・「好き」より先に言いたいこと。眩しいくらいに誠実だな。いや、「好き」って言った後じゃなきゃおかしいようなことを2人とも頻繁してるような気はするけど、気のせいですね。こんなプラトニックな2人はそういませんからね、うん。わかったか萌子。なにがヤッた?だそんなわけないだろ。大晦日だって部屋に2人きりになったけど、なにもやましいことなんてなかっ……お、押し倒してる……。

 

・冗談はさておき。今回、「ありがとう」ももちろんクリティカルなんだけど、市川の厨二趣味についての描き方が好きすぎてそればかり考えてしまう。とはいえ、それについて書きたいことはだいたい昼のうちに書いてて、これ以上は言語化できないのだけど。感情がデカ過ぎると口数が減る現象。

 

・4巻収録分はここまでとのこと。たっぷりまるまる冬休みに費やしたか。巻が進み、2人が親密になるごとに時間の流れがゆっくりになっていってるのは、アインシュタインの有名な言葉を思い出すね。ホントにアインシュタインの言葉なのかは知らないけど。

 

・短い間にここまで親密さが増しといて、少なくともバレンタインまで2人は付き合ってないってのがちょっと信じられないですね……。どこまでツイヤバを真面目に捉えて良いのかわかんないけど。というかバレンタインを本編でやらないラブコメすげぇな。今更ながら。ツイヤバはパラレルってことで本編で別のバレンタインをやっちゃってもいいけど。

 

・今回まで4巻分ということは、次回から5巻分ということだ(当たり前)。3学期。やっぱ学校内メインに戻るのだろうか。正直今さら学校でなにを……とは思うけど、そこは考えても仕方ない。あるいは山田の仕事の方にスポットが当たるとか。

 

・今回の話関係ないことばっか書いてんな。ということでここまで。次回更新も二週間後とのことで、単行本作業でこのペースが落ちることとかあるんだろうか。なんにせよ楽しみです。