せんくつにっき

思うこと、感想、とかとか

僕の心のヤバイやつ感想『僕らはゆっくり歩いた』

・もうね……もう……、もう……私は……。

mangacross.jp・タイトル見た瞬間に1回死んで、ページめくる毎に心臓が止まって、半分くらいのページで爆発四散した。なんてことしてくれるんだ桜井のりお。放心状態のまま時間が溶ける溶ける。更新から30分ほど僕ヤバ以外の記憶がないよ。

 

・僕らは……ゆっくり歩いた……そうなんですよ、この2人はほんとゆっくりなんですよ……。LINE交換するのに丸一巻費やしたのは言うに及ばず、そもそも2人がそれぞれ好意を自覚するのにすら単行本単位だし、作中の時間にしたってそうだ。

 

・書きたいことがありすぎて逆に手をつけられない。いつもは最初にまとめ的な感想を書いてるけど、それが出来ない。ので早いけど頭っから行きましょう。個人の感想、考察です。

 

・ショッピング後、辺りが暗くなりはじめの薄明からスタート。デート(もうデートでいいだろ)の始まりが13時半ごろで、冬なので日の入りは17時前あたりだろうか。大体3~4時間経ってる計算。ショッピングはあの後も続いたのかもしれないな。そのうちツイヤバでやるだろうか。というかちゃんと買って着たんだなあの服。チャックは店員さんに閉めてもらったのだろうか。まさか市川に……? 流石にないか。

 

・アオリがいいね。単行本派に連載を追うことを勧める理由の一つだ。経過時間は上記のとおりだと思うが、2人の体感時間はもっと速い。相対性理論ですね(?)。

 

・ごめんね、疲れちゃったよね、と謝る山田。本心から反省してるのは確かで、市川をあまり楽しませられなかったことに気落ちしている。だけど市川にそれが悟られないように、言葉を交わすときにはあくまでにこやかだ。反省することも含めて健気。市川も流石で、言葉の態度そのままには受け取らず、ふとした表情からそれを察する。今までの経験から、こういうときの山田は隠れて落ち込むことを知ってるからだ。Karte.2とか。

 

・で、市川も反省。やらかしポイント等、山田から自分がどう見られているかばかりを気にしてばかりの一日で、やらかすたびに落ち込んでいた。だけど山田にとって市川のテンションが低い理由なんてわからないから、だから楽しくなかったかなと反省をして、させてしまったことに思い当たって市川も反省。

 

・で!! ここで2人して「「失敗だったな」」と思うだけではいつものすれ違いだった。が!! もう山田も市川もそこでは終わらない。山田は(態度を多少繕いはしたが)ごめんねと、自分の失敗を、失敗と思ったことを市川に告げるし、市川はそれに応えるのだ。市川の返答。

 

・「山田は……僕のことをわかってないよな」。この一連、私的特に大きい爆発四散ポイントその1です。一人称もそうだが(僕!!!!初めて対山田で僕って言った!!!!)、内容が特に。お人好しじゃない、頼みを断れないタイプじゃない、死ねと思ったら死ねと、嫌なことは嫌だと言う、僕はそういう人間だと。すべて逆にすれば『山田からこういう人間だと思われている』と市川が捉えていて、だけどそうじゃないという市川の自己評価でもある。その評価自体に卑下は入ってると思うが、それゆえに、つまり自分を卑下するような人が、自分はそれほど優しい人間じゃないのだと好きな人に伝えたという事実。ここですよ。そして、正直にそれを伝えたのは、ただその好きな人に「今日は楽しかった」と伝えたかった、その気持ちからだ。ちょっと今泣きそうになってる。

 

・嫌なことは嫌と正直に言う人間で、この言葉は嘘じゃない。それを伝えた上の言葉だから、この「楽しかった」という言葉も嘘じゃない。信じてほしい、という願いだ。そしてそれに対する山田の返答が四散ポイントその2だ。

 

・「わかる」だ。「楽しかった」→「わかる」だと一見会話が成立してなくて、だからこの「わかる」は市川が言葉を尽くして言外に滲ませた「信じてほしい、伝わってほしい」という願いに対する「ちゃんと伝わったよ」という応えだ。これは完全に霊感だけど、続く山田の言葉のとおり一人称が”僕”になったから、市川が真剣だと気づいた……わけではないと思ってて、たぶんそれは補強に過ぎないんじゃないかな。市川が自分のことを語るなんて滅多になくて、途切れ途切れでも言葉を紡ぐ様子も含めて「わかった」のだと思う。それぐらい山田は市川のことをもう「わかって」いる、はずだ。だけど、何の根拠も示さずにただ「わかった」と告げるのではなく、市川が言葉を尽くしたのと同様、山田もそう感じた根拠とともに「一人称が変わったのにすぐ気づくくらい、私はあなたを見ている」という意味を込めてああ言ったんじゃないだろうか。

 

・マフラーを巻いたのもその一環だろうか。いつかのミルクティーのとき、自分の何気ない言葉を覚えててくれたあの時みたいに、冒頭の市川の何気ない言葉を聞いて、覚えていた。読み込んでったらもう全部死ねるコマだなこの漫画。

 

・朝つけてきたって……いつからハチ公前にいたんだこの女。これは流石に別の用事があったと思うべきだろうか。……ずっと漫画同伴で? うーん、まあ無くはないのか。いつものメンバーと遊んでいたのかもしれないですね。というか自分のつけてたマフラーを異性に……。うん、その辺はもういつもの山田だ。

 

・マフラー、クリスマスプレゼント説もあるな。そうは言ってないが、最後まで返してもらおうともしてないし。いつものチェック柄のとは違うし。これはコンボを『そのままあげる』と『返してもらうためにまた休日アポを取る』の2ルート繋げられるが、はたして。口実なんて無しに普通に遊べるくらいの仲になってほしいという気持ちもある。

 

・イルミネーション! 予言通りなら、色はきっと赤だ。普通は青の気もするけども。山田はこれが見たかった。ん、違うな、山田はこれを『今日』『市川と』見たかった。

 

・イルミネーションなんてくだらない、ただ眩しいだけだ、みたいなことをたぶんこれまでの市川は思ってて、だからその綺麗さも斜めに見てたんだろう。だけど今日は初めて素直に、加えてベッタベタな言葉だけど『好きな人と見ると』、綺麗だと思った。知った。なんならイルミネーションを見る好きな人の綺麗さだって再認識してる。

 

・場面変わって渋谷駅。「漫画持つよ」→「おっ」はこれどういうあれだろう。一緒に持つと言いながらやっぱりそこは紳士らしく持ってほしかったみたいなめんどくさ女仕草か、あるいはこの後の展開を見越してか。

 

・手汗云々は多少デリカシー無いぞ市川……なんて言葉に意味は無く、だって山田は市川の指摘は全然気にしてないから。

 

・一緒に電車。否応なしに職場見学回を思い出す。あのときはわざと離れようとしてたのに、今回ははぐれそうになったら動揺する市川むちゃくちゃ良くないですか。

 

・手を繋いだーーーー!!!!→握り返したーーーーーー!!!!!! あんまりこういう感嘆符で文字埋めるの好きじゃないんだけど、本心だもの。山田はただはぐれないようにで手を『掴んだ』だけで、握り返されるとは思ってなかったような気がする。手汗を気にして離そうとすらしてて、そこからこの山田の顔よ。ずっと山田がリードしてたデート編で、ようやく市川に技を決められた瞬間じゃない? ようやった市川! 判断基準が手汗ってのもあれだけど!

 

・『手を離すタイミングが~気持ちが伝わりそうで怖い』この一連のモノローグはなんだろう、爆発四散というより、砂になって崩れるという方がしっくりくるな。ものすごい感情になるここ。会話はなかったんだろうなぁとか、電車降りて人の目がより気になったときとか、改札抜けるときとか、明らかに『タイミング』なのに、それでも繋いだままで、離そうとしない互いにいろんな感情が湧いたりしたんだろうなぁとか、あぁ、砂になる。

 

・どうしたってくる別れのとき。この2人、いっつも別れる場所が違うんだけども、たぶん今日は今までで一番長い帰り道だ。市川来た道を戻ってるし。一瞬市川の家の前かと思ったが、流石に違った。

 

・まだ6日ある、ってこれまだ年内にまだ会う気まんまんじゃないか。やっぱりマフラー……。というかこの口に指つけて「しっ」てやつ! もうずーっとカップルみたいなことしかしてないなこの2人。

 

・ひょこ じゃないんだよ山田ぁ! お前市川が振り返ることを……!山田ぁ! 名残惜しい気持ちはわかるよ……。情緒がだいぶあれになってるが、しょうがない。この山田を見た市川の顔がすでにちょっと綻んでるのがもう……もう……。

 

・メリークリスマス。どちらも分かっていながら言及はしなかったクリスマスイブを、ようやく口に出せた。それは、今日のこれはただの漫画の貸し借りのためだけなんかじゃなくて、それは相手も分かってて、自分が分かってることも分かったからだ。たぶん。

 

・山田がイルミネーションと同じくらい、もしかしたらそれ以上に見たかった市川の笑顔。デート編をそれで締めるってのがほんとこの漫画すごいな。

 

・聖夜の勢いに任せてなんかじゃなく、今までは露にも思わなかった『好きだって伝える』が、ようやく少しだけできる気がしたと。もう私の情緒は原型をとどめていません。自覚してからここまで長かった……。

 

・まだまだ書きたいことはあるが、とりあえずここまで!

 ・扉絵来たので続きを書いていきましょう。マフラーは““赤“”だった! 山田による予言(というか予告)では『周りに赤いものがたくさん』だったが、このマフラーもその1つだとしたら、周到な計画が伺える。山田サンタからのクリスマスプレゼント。とすればだ、まさか私物をプレゼントとして選ぶなんてことはあるまい。……ホント? 山田ならやりそうじゃない? いや流石にないだろう……。ともかく、疑問なのはあの時すでに調達してたかどうか。個人的には、山田はイブ当日の朝から活動していた風なので、渋谷に前乗りして赤い贈り物を探してた……みたいな行間を読みたくなる。

 

・一週間前の予言の時にはすでに買ってたでもいいんだけどね。そうやってウキウキとイブを楽しみにしてたという文脈がKarte.42、43に追加され、市川に避けられた山田の絶望がより深くなるので……。

 

・このマフラーが次にどう活かされるのか。プレゼントのテイで話をしたが、上でも書いてる通り次会うための口実という説もある。ただ個人的には、山田が「あと6日ある」とわざわざ発言もしたし、そんな口実なんて無しに休日に遊んでほしいという願いはある。あぁ、互いに「これは口実だ」とわかり合ってる状態で、それでもそれが必要だっていう関係は大いにあり。ありありのあり。

 

・市川の自己評価について。『お人好しじゃない、頼みを断れないタイプじゃない、死ねと思ったら死ねと、嫌なことは嫌と言う』とのことだが、これらを挙げたということは、山田からの評価がこの逆であると思ってるってことだろうか。お人好しで、頼みを断れず、言いたいことは我慢する(あるいはそういうことは思わない)人間だと思われてる、と。

 

・山田の距離の近さは、市川からしても特別なものだと捉えてると思う。自分のことが好きとまで思うことは出来なくても、クラスや学校の男子内では1番親密である、くらいの自負はあるんじゃないか。で、その理由を市川が考えようとした時、山田から見た自分がどういう人間かについて思いを馳せないわけはないはずで。そうした時に、例えば気遣いを悟られたこと(ティッシュ、小林回)、例えばお願いを聞いたこと(主に原ー神崎絡み)などが思い付いたんじゃないだろうか。

 

・読者の目線からしても、市川はお人好しだし、だから頼みもあまり断らない人間に見える。多少考えなしに口を滑らすことはあっても、それを自覚して反省もできる。総じて基本的には中学二年生にしては出来た善性の持ち主で、山田も市川のそういうところに惹かれているのだろう。ただ市川の自己評価はそうじゃなくて、だけど山田にそう思われてるということは、つまり勘違いをさせてると思考は変遷する。

 

・身に合わない高評価。いくつになってもむず痒いものだが、害がなければ『思わせとけばいい』となるし、好意を抱く人からならば『それに見合った人を演じる』くらいが普通だと思う。まして中学生だ。だけど市川は正直に、真正面から「僕はそんな人間じゃない」と、嘘を混ぜない文脈で伝えた。偽らない自分で接したいという、ともすれば青臭くもある言明。

 

・このくだりのメインは結局「今日は楽しかった、嫌なんかじゃなかった」と山田に伝えることで、今私が長々と書いたこれらはあくまで枝葉の部分だけど、この言葉だって偽らざる市川の本音なわけで、そこも含めて山田には伝わったと思いたい。

 

・たぶん……というかもはや願いだが、ここを受けて山田には『市川の自己評価の低さ』を感じていてほしい。単純に「そうなんだーお人好しじゃないんだー」などではなく。なんだかんだ、市川が自らの卑下を山田に見せることは少なく、本編だと3巻冒頭のLINEを聞いたときくらいだ。態度には出てるかもしれないが。

 

・これくらいで一旦終了。「伝わりそうで怖い」→「ほんの少し伝えられそうな気がした」とか、感情を発散しきれてないとこはまだあるけども、まだ言語化できてないので。書けるようになったら書こう。次の更新は7/14!! さて、どういう話になるのだろうか。楽しみで仕方がない、