せんくつにっき

思うこと、感想、とかとか

僕の心のヤバイやつ感想『僕は山田が嫌い』

・読んでしばらく言葉が出てこなかったけど、そうか、幸せにおなり、だ。そう言いたかったんだ。最終回はまだだぞおい。

mangacross.jp

 

 

・頭っからいきましょう。個人の感想、考察です。お昼休み終了間際。1コマ目、読んでる本も構図も明らかに1話の冒頭に被せている。違うのが、目があってからつまらなそうに目を逸らすのが山田から市川に変わっているところで、これは予告の段階でもわかったやつ。

 

・市川に目を逸らされ、ショックを受けてる様子の山田。2日連続で市川が来ない事態を不審に思っていたところに、この冷たい態度だ。避けられているのは山田でも分かる。後ろから市川を見つめる視線が寂しそう。

 

・『昨日も今日も〜どうでもいい気持ちだ』。前回からのおさらいのようなモノローグ。タイトルの通り、『山田なんて嫌いだ』状態。こう書くと駄々こねてる子供みたいであれだな。よくない。

 

・授業終了。市川を問い詰めんと詰め寄る山田。この行動力が隠キャとは違う。この時点ではまだ『別に市川は怒ってもいないし、嫌われてない』というかすかな希望を持っていそうで、緊張しながらも努めて平静に語りかけようとしている……気がする。どうでもいいけどこのコマの山田デカくない。

 

・しかし市川これをスルー。ちょっと露骨すぎるくらいの『避け』だ。本当にどうでもいいと思ってるならもっと当たり障りのない対応をするものだから、本心は違うということが分かる。だから山田も「怒ってるの?」となったのだろうし。いわゆる『好き避け』という解釈は流石にできなかった模様。

 

・追いかけっこスタートから、秒で引っ捕らえられる市川。当然だ、歩幅が違うわ。

 

・壁ドンというか、壁バン。このスピード感よ。山田の焦りが伝わってくる。追いかけっこの直前まであった(であろう)希望が、市川のガチ逃走で潰え、『怒らせてしまった、嫌われた』が確定したのだ。いやそれにしても必死だ。逃げる対象の腕をを後ろから掴み、位置を入れ替えて壁に押し付ける一連の動作、そこそこの腕力差がないとムリだろう。

 

・涙目の山田。出てくる言葉は質問だが、もはや半ば懇願のように見える。山田からしたら本当に分からないし、教えてくれないと恋が終わってしまうのだ。

 

・ちょっとびっくりしたのが、この体勢でも市川はろくな反応を見せていない、どころか半ば怒っている風なのだ。どこかで『どうでもいいと言いながら、山田に迫られたらコロッとやられるんだろ?』みたいな侮りがあったので、ちょっと反省。

 

・この時の市川はつまり『山田を嫌いになる理由を見つけ、実際に嫌いだと思ってる(演じてる?)状態』であり、その理由が『利用するために隠キャに近づいている』なので、この状態の市川はいくら山田に距離を詰められようとも『嫌い』が増幅するだけと、そういうことだろう。

 

・市川に嫌われる理由、山田が分からないなりに考えた結果が、『距離が近いから』で、微妙に不正解。『利用するために』が抜けているのは山田にそんな気が一切ないから当然だ。たぶんずっと考えてたんだろうな、市川に無視されてる間。直近の普通に接してくれてた時の会話とか自分の振る舞いを思い出して、ようやく出した答えだ。その間の山田の心情を察すると、なかなかキツいものがある。

 

・そしてそれに対する市川の対応!『怒ってるけど、別に仲直りもする気がないのでその理由は明かしません』ってヤツ。『好きの反対は無関心』なんて言葉をよく聞くが、それを山田に突き付けた形だ。嫌われようがなにしようが、お前のことはどうでもいいから関係ないと。市川自体はそこまで山田に伝えるつもりがあったかは微妙だが、一度違うと言いかけて(つまり原因は別にあると言って)、それを伝えないまま立ち去るというのは、そうとしか受け取れない。

 

・で。山田もそうと受け取り、失恋と、あと市川を怒らせた申し訳なさ(だからごめんね)で涙を流した。泣かせやがったな市川!この期に及んで『プライドが傷つくか?』とか考えるの、コノヤロウとは思ったが一貫はしている。どうでもいい女の涙で揺るぐはずがない。

 

・で!!!!! ここでポケットティッシュ(ご自由にのやつ)!!!!! 後生大事に持っていたことは読者なら知っていたけど、市川は当然初見だ。どうでもいいやつから貰った物を中身を入れ替え入れ替えずっと使ってるなんて、そんなことはあり得ない。ん? あのポケットティッシュについて、山田に知られてることを市川は知ってるんだっけか? 

 

・ともかく。山田に対する負の虚像も崩れ、自分の勘違いを悟った市川。『わかってるんだホントは』のモノローグが最高。こういう『気づき』が大好き。こうなると嫌う理由なんて最初っからない。ないが……それにしてもだ。気づきからすぐに山田のフォローに入る姿、根がいい子なんだろうがえらく早いな。

 

・明かされる、自分すらも『知らな』かった市川の心、その奥底。ここでSwitchか〜〜〜。漫画がうまいなぁ。『本当は欲しくてたまらないのに、どうせ手に入らないから、嫌いになる理由が欲しかったんだ』『どんどん好きになるのが怖くて』。最高。『欲しくてたまらないのに』だぞ。『好きになるのが』『怖くて』ですよ。なぁおい。

 

・ハグ!!!! 市川に嫌われたわけじゃなかったと感極まってのハグ……でいいんだよな。背景もなにもない、完全に2人だけの世界だ。今回、気のせいかもしれないがやたらと背景にモブが写り込んでたし。

 

・仲直りのハグってなんだよ。そんな文化知らんぞ。方便だろ絶対。

 

・「近いの嫌だったよね」「嫌だなんて言ってない」。最高。なんだろう、市川が超イケメンなのはそれとして。うまく言語化出来ないが、なにが良くてなにが嫌か、自分の本心をちゃんと言葉にして返したという事実、一段と心を開くことができたという事実がたまらなくうれしい。わざわざ手まで掴んでよぉ。勘違いはもうヤメなんだ。したくないし、させたくないんだ。

 

・わざわざ人目を忍んでのハグ。先導は山田だが、ちゃんと市川は付いてきていて、山田も幸せだろうな。双方同意の上だもの。選んだのが備品倉庫内だったら、もうちょっとヤバイことになってたんじゃないでしょうか。勢いで……こう……ガッと……。

 

・お昼になったしとりあえずここまで。

 

・ぼちぼち追記していこう。考察というか、妄想が入ってます。

 

・前回。山田は『その気もなく』市川を傷つけてしまった。傷ついたのは市川の問題だという向きもあるが、どちらにせよ『山田の行動で、市川が傷ついた』のは紛れもない事実だ。そして今回。同様に今度は市川が『その気もなく』山田を傷つけてしまった。

 

・結局、この43話に至るまで、相手に対して『私はこういう人間だ』と示すことはなく、また互いのことについて『探りをいれて』あるいは『観察しながら』知っていくことしかしなかった。相手を知ろうとする姿勢もまた、自分の本心を示す行為だからだ。知らないことだらけなのに距離ばかりが近づき、ついにお互いがお互いを知らないままに傷つけてしまった。

 

・それが今回の話でようやく、本当にようやくだ。山田は市川に避けられたことで、市川は山田への勘違いと自分の心の内に気付くことで、「怒ってるの?」「嫌だなんて言ってない」と、そうやって知ろうとし、答えることが出来るようになった。聞いてもらえることを、答えてもらえることも知った。確かに、2人が常にその態度でいれるわけではなく、今のところは山田も市川も相手が傷ついた本当の理由は知らないままで、この先もいつか同じように相手を傷つけることがあるかもしれない。だけど、今回の危機(大袈裟でなく)を乗り越えた2人は、そんなことで断絶が起きたりしないんだと、私はそう思う。

 

・山田の絶望について。涙を流した時にポケットからボロボロと落ちたティッシュ屑を見るに、お昼休みや教室にいない時、人目を憚って泣いてたんだろう。コトがコトだから友人にも相談できず、1人で。……完全に愚にもつかない妄想で申し訳ないんだけど、山田の肩書が『スタイルと顔のいい一般人』から『モデル』に変わった時、友人が何人か離れるという事が起こったんじゃないだろうか。それは憧憬からくる嫉妬が原因で、だから山田にはその理由も告げられることなく、例え問い詰めても理由は出てこず、そのままフェードアウト。自分はなにも変わったつもりもないけど、どうやら嫌いにさせたみたいで、とにかく『私が悪いんだ』という気持ちだけが後に残った。そして今回。初めて恋をして、多少仲良くなることが出来た男の子も、その時と同じように理由を言ってもらえないまま、仲直りの手がかりもないままに離れてしまう。その心情を思うと胸がかき乱されるし、その後のハグも『離さない』という気持ちが感じられて健康にいい。

 

・ホント妄想ですけどね。そうだったらあの涙にトラウマという要素も加味されるなと思っただけで。

 

・山田の涙、私は『嫌われた悲しさ(自分本位)』も『怒らせた悲しさ(他人本位)』も両方あると思ってる。どっちつかずでアレだけど、感情ってそういうもんじゃないですか?

 

・仲直りのハグ。山田からすればハグ自体は風邪回で一度ヤってるから、『一度触ったとこはいつでも〜』という作者情報を加味すると、一応は『問題ない行動の範囲』ではある。その市川から明言して許可も貰ったし、言葉の通りの『仲直り』のためのハグで、カラッとした南米的な所作だ。表向きは。備品倉庫横という、往来の死角となる場所に移動した事実がなければ。

 

・いやぁ、だってですよ。本当にこのハグに『仲直り』以上の意味はないなら、わざわざ見えにくいとこに移動する必要もなくて。悲しみが晴れた反動にしたって理性的だ。明らかにそのほかの何かがハグに乗っかってる。私はもう明確に山田の卑しさだと解釈してる。そうだ、もっと深読みするとですよ、備品倉庫の中を『選ばなかった』理由も気になる。一度は一緒に入り、その時の理由も『人目を気にして』なのだから、今回選択肢に入らなかったわけもない。こうなるとピンクの脳味噌は『完全に人目がないとこだと歯止めが効かなくなりそうだったから』みたいな答えを弾き出すけど、これはちょっと下品なので却下かな。あとはそう、『人目を気にしてではなく、往来の邪魔だから』とかか。『作者の人そこまで考えてない』?それは常に否定できないけどさ。

 

・扉絵が来てた。

・最高だ。ハグの直前、涙も嬉しさからのそれに変わっていて、こぼれかけた幸せが 再び2人を包んでいる。こんなこと書くと付き合ってるっぽいけど、なんで付き合ってないんだろうこの2人。

 

・市川も正面からこの泣き顔を見たんだな。山田自体はそういうとこは人から隠したい性格だと思ってて、それなのになり振り構っていないのは、やはり相当な大きさの感情なんだなとしみじみする。

 

・市川、さすがに『山田は僕のことが好き』という考えを持ってないなんて話はないだろう。難しいのが『気付いてるが、蓋をしている』か『可能性を持ってるだけで、確信はしてない』なのか。自分でかけた蓋の存在に気付かないので、モノローグなんかでは判別できない。

 

 

・次回の下書きも来てるんだけど、帰り道ってこれ今日の続きってこと⁈ やってくれるんだ。風邪回と同じでやっても単行本のオマケかと……。

 

・3巻収録分まで、今までと同じならあと2話だ。待望のクリスマス回はそろそろだろうか。発売の周期が長いので単行本跨ぎはしないだろうと勝手に思ってるが、となると『あと2話のうちにクリスマス』か『クリスマスは4巻分』のどちらかになるが、さて。

 

・どっちにせよ、3巻収録ラストの話でもう一回ヤマを持ってくると思われるので、そちらを恐々と待とう。たぶん5月も2回行動だ。