せんくつにっき

思うこと、感想、とかとか

僕の心のヤバイやつ感想『僕らは負けている』

・負けてるけど勝ったし、勝ってるけど負けたし。だけどどちらも胸にあるのは負けたって事実だけの、雨の中の苦い決着だ。サブタイ通り。傍から見てる分にはどっか爽やかなんですけどね。いやぁ、最高。

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・市川がタイマンを受けたの、今回自分で言ってる通り『カッコつけたい』ではあるんだろうけど、じゃあなんであの捻くれた市川が、『タイマンを受けて勝つ』なんて古臭くて泥臭いことを『カッコイイ』と捉えたかって、それはたぶんタイマンを申し込んできた足立を『カッコイイ』と思っちゃったからなんですよね。だから、みっともなく負けようとした足立にああも怒った。そんな姿勢はなにもカッコよくないから。タイマンも勝利も山田に見せるためだけど、あの啖呵と告白はそうじゃない。友情ですね。

 

・ところで、ギャラリーにはあんまり聞こえてなかったようだけど、同じく競技をしてた他の男子陣には普通に聴こえてたんじゃないですかね。「本気で山田が好きだ」。最初に萌子に言って、山田父にも言って、学年の男子多数にも伝わってって、お前本人以外すべてに告白するつもりかよ。

 

鵠沼くんがあの強面のくせに妙にニヒルっつうかイケメン的言動してるのがちょっと面白い。市川の啖呵聞いてニヤッてしてたり、泣いてる足立に「雨……降っててよかったな」だったり。横から友人に「何言ってんだコイツ」的な目で見られてるの含め。二話前、市川が鵠沼君に騎馬戦参加の意思を伝えたときに鵠沼くんは「二ヤついてた」そうだけど、その意味がこれでなんとなくわかりましたね。

 

・そんなこんなで、頭っから行きましょうか。久しぶりに日の高いうちに投下できそうだけど、時間がないのは変わらないので。あとなんかパソコンの調子が悪い。

 

・雨の中の騎馬戦開始。桶狭間かな? おそらくそこそこのギャラリーが校舎に引っ込んでるなか、タイマンを見届けるために留まる山田とそれに付き合うイツメン。「しょうがないなー」みたいなツラしてる萌子はおそらく男子どもがなにかしてるのは察してて、その萌子の様子からおそらくは吉田さんも察してて、またしてもなにも知らないバヤシコの図だ。君はそのままでいて。後のコマでは消えてるのでたぶん校舎に行っちゃったんでしょう。

 

・足立捕捉からのタイマン開始。鵠沼くんは怒っていいよ。しかしこう、攻防しながら言葉を交わしていくのがザ・青春って感じで最高ですね。しかも内容は「山田のことが好きだ!」の言い合いだし、「お前はイイやつだ」も入ってるんですよ。いつの少女漫画っだっつう話だ。

 

・「俺はもう負けてる」。諸々知ってる読者からすると、ここのセリフは「(山田はもう市川のことが好きだから)負けてる」って読みそうなんだけど、たぶんそうじゃない。「市川をいいやつだと思ってる」『だから』「負けてる」なのだ。文脈的には、山田と市川をお似合いだと足立は認めてしまっていて、山田を振り向かせる気が失せてしまっているから、だから負けてると、そういうことだろう。それにしても、山田を好きだってことは大声で言えても、友人を認める言葉は小声でしか言えないところに、どうにも男の子の不器用さを感じますね。

 

・「ふざけるな」。ここまで感情を露わにした市川は初めてなんじゃないかと思うんだけど、連載も長く本編ツイヤバともに相当な物量が重なっていて、ぶっちゃけこういう「初描写」判定に自信が持てなくなってきた今日この頃。そんなことはどうでもいいとして、ここの下りの市川がカッコよすぎて繰り返し読んでたら泣きそうになってきた。

 

・少し戻して。もう負けてる、でも、負ける時はみっともなく負けたい。ここの足立の心情がちょっと良く分からないままだ。スポーツマンシップもっこりだったり、好きな子を露骨にエロい目でガン見したり、そういうバカなことを、ふざけたことをやってるから、勝負にもならずに負けてしまった……ということにしたいのかなと、最終的にはそう理解したが、うーんピンとこない。だったらタイマンしないでしょ。「みっともなく」じゃなくて「いさぎよく」ならわかったんだけど。タイマンを申し込んで、雨が降っても先生に直訴するぐらいそれを望んでいたのに、戦わずに帽子を譲るこの行動が「みっともない」? いさぎよさをはき違えてるという意味では確かにみっともないのかもしれないが、それを狙ってるようにも見えないし、みっともなくなりたいんだったらハナからタイマン自体を申し込まないほうがはるかに「みっともなく」なれる。負けてることを認めたうえで、区切りをつけるために明確に負けたいという気持ちはあるのだとは思うが、やはり「みっともなく」が良くわからない。いや、「カッコつけ」に対応させるための単語だとは思うんだけどね。山田の前でカッコつけようとした市川と、みっともなくなろうとした足立とってな感じで。

 

・市川の本気。すぐ上でいろいろ書いたけども、少なくともタイマンを申し込んだ時点では足立も「本気」だったと私は思っていて、だけどどこかで日和ってしまった、あるいは諦めてしまったって考えが一番すんなり来てる。市川の怒った理由はその心変わりと、あと感想の冒頭にも書いてるようなところじゃないでしょうか。

 

・これも冒頭でチラッと書いたが、鵠沼くんの反応が面白い。「やるじゃねえか」みてぇな笑みを浮かべてよぉ。特等席で良い空気吸いやがって。羨ましい限りだ。

 

・市川の本気に足立も当てられてしまいました。みっともなく負けようとしてたのに、あーあ。男の子がよぉ……。この辺最高に青春してる。最高ですね。語彙。山田のことも嫌いになれたってのはまあ、葡萄はすっぱいと諦められたのにってことなんでしょう。

 

・二重の決着の時。サブタイ通りとは恐れ入った。確かに帽子は取ったけど、鉢巻の下に自分の知らない友人のあだ名と、それを呼ぶ好きな女の声。本気になったからこそ手に入れた、これ以上ない勝ちと負け。P6左下の、決定的に悟った足立の表情が絶妙ですね。

 

・体育祭終了&保健室&足立ママ。えぇと、看護師ってことでいいんですよね。看護師免許は取ってるが職業はまた別ってことはない? いや気にするとこじゃないけども。足立の「じゃーなァ」もまた、精一杯の、そしてたぶん山田に対する最後のカッコつけだ。ナンパイといい、保健室はけじめ付ける場所じゃないんですがね。なんか定番になってるけどさ。

 

・傷心かと思えば、すぐさまおねえに反応。変わらねえなコイツは。男を見せたとはいえおねえは許さんぞおねえは。年下相手にオラついてるおねえもいいですね。流石バンドマン、ロックが沁みついて…いや年下にオラつくのはロックか?

 

・敗北に凹む市川。山田に合わせる顔がないのかな? 可愛いね。冗談(ではないが)はさておき、素直に負けを認め悔しがれるというのは間違いなく成長で、山田の言葉で自らの成長や変化に気づくってのは素晴らしい関係ですねとしみじみ思う。

 

・お弁当っつうかでけえタッパ―。戦いのあとのイチャイチャタイムだ。それにしても、その、山田両親はこの量を持ってく娘を止めなかったので……? ハイキングに赴く家族の量だぞ。おにぎりとか山田の顔くらいあんだけど。

 

・実食! 胃袋掴みましたよ山田さん! やりましたね! 思わず出た素直な賛辞と、にわかに信じられない山田。いつぞやのホワイトデーのツイヤバであったな。素直に褒められず、「普通に」とか「まぁまぁ」美味いって言っちゃう市川。そんなやつが急に褒めだして、はたして素直に受け止められるかっちゅう話ですよ。まぁ、褒めを畳みかけて受け止めさせるんですが。しかし卵焼きもバカでかい。このサイズにするだけでも相当な腕じゃないですかね。

 

・なに普通にてめえの箸で山田に食べさせてんの? 市川? いつの間にその行動に抵抗なくなったんすか? あれ? 間接キス関係のイベント見逃した? 今日から市川さんって呼ぼか? 

 

・「かっこよかった」。いつかやると思ってたよ私は。「きょう」と「今日」をかけるやつ。卑しい女ですよまったく。

 

・飛ばし飛ばしで申し訳ないが、とりあえず以上。次回からいつもの学校生活に戻るとして、告白イベントを心待ちにするのはもちろんのこと、私としては鵠沼くんをもっと見たいんですが。数コマでどうやら気持ちのいいキャラだと分からされちまったので、メイン回が欲しいです。推察されてる山田と同小のこととかさ。