せんくつにっき

思うこと、感想、とかとか

僕の心のヤバイやつ感想『僕の方が好きだ』

・体育祭へのタメ回。こう、色々見方はあるんだろうけども、男どものあれこれを横目に見ながら我が恋愛を貫く山田が頼もしいというかなんというか。

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・なんでしょうかね。回の冒頭で市川が言ってるとおり、このタイマンの勝敗には何の意味も無い。勝者が山田に選ばれるなんてことは起こりえない。そんなことは2人とも分かっている。一方、単なる事実として、勝負の前提には山田の存在、男2人の山田への好意ってのがあって、もちろん2人にそこまでのつもりはないものの、そういう前提で男2人が争う以上、「このタイマンに勝った方がより山田にふさわしい」みたいな意識は捨てきれないし、だから2人とも「負けたくない」。それは男の愚かだけどどうしようもないプライドが故で、愚かさの自覚と葛藤を持つ限り、とても尊い青春だ。勝敗に意味はないけども、友人と張るタイマンそのものには意味がある。

 

・一方で、そんな愚かな男の青春など、当の山田には関係ない。想い人がなにやら青春をしているようだなと微笑ましく感じても、そこに自分が絡んでるなんて思いもしないし、たぶん気づいたところでなにも変わらないだろう。運動を口実に親のいない家に連れ込むし、タイマン当日に弁当を作っていこうとする。なぜなら、山田はトロフィーじゃないから。「足立が可哀想だから、タイマンが終わるまで市川とは距離を置こう」なんてする理由など、山田には1ミリも存在しないから。

 

・タイマンに向けた運動を山田と一緒に行い、当日には手作り弁当も待っているという市川の立場は、見方によっては、というか足立にとっては残酷だけど、そんなもんは山田の恋愛を止める理由にはならない……ということを、今回は描いている、ように思う。とはいえ、このタイマンが徹頭徹尾無駄なものかってそういう書き方もしてなくて、とてもバランスがいい。冒頭の「頼もしい」ってのはそういうことで、だから頼もしいのは「山田が」というより「作者が」が正しいかもしれない。

 

・だからこそ……ってだけではないけども、あんまり「足立カワイソwww」的な感想は好きじゃないなって思うんです。誰かの恋愛を楽しんでる口で言うことじゃないけど、嗤うのはやっぱよくないじゃないですか。

 

・読んでから時間が経つと感想からリビドーが薄れていかんですね。理屈っぽくなっちゃう。これ以上薄まる前に頭っから行きましょう。個人の感想です。

 

・足立からのタイマンを受けるのかい?! 受けないのかい?! どっちなんだい?!!??! タイマンを、受ーけー……る! 受ける! ハッ(笑顔)! ……これはリビドーではないですね。パワーだ。真面目にやりましょう。大方の予想通り、タイマンを受けた市川。山田の前ってこともあって恥ずかしくなる足立が中学生らしくてかわいい。あと「上からかよ」の笑顔。ここちょっと先生が意地悪だなって言うか、市川の「やってやってもいい」って言い方は、足立と同じく恥ずかしさ照れくささがあったからこうなったわけじゃないですか。一方で、実際問題として市川にこのタイマンを受ける理由なんてなくて、「山田を巡る」って要素だけ見ると市川は確かに「受けてやる」側ではあるんですよね。けど、その市川の立場と言葉、足立の笑顔からその考えに至ること自体が、足立を可哀想だと嗤うことと近似だろうって妙な後ろめたさを感じてしまう。考えすぎですかね。

 

・「負けたくない」ので運動開始。なんか全コマで汗かいてるな市川。なんで負けたくないのか、は最後の方で描いてますね。自分の方が山田が好きだと示したい。市川は一度も足立に対して山田への好意を伝えたことはなくて、タイマンを受けたのはその辺もあるんでしょう。

 

濁川くん登場。イマジナリーの存在が当たり前のように外で登場するんじゃないよ。あと「独り言はまずい」って、口に出さなきゃいいでしょうが。いつまで経っても濁川くんの描写から精神病的な怖さを除けないでいる。

 

・1人で犬語(?)を喋るヤバイやつが登場。あ、ヒロインでしたか。お前もお前でそういうのは家でしなさいよ。似たものカップルがよ。

 

・「なんか用?」。山田の冷たい顔はホントに冷たく見えるらしいし、初期市川ならこれが照れ隠しだと気づけなかったでしょう……ホントか? さすがに気づくか? 

 

・体育祭に向けて運動中ってのをあっさり見抜く山田。この「ははーん」顔が最高ですね。市川の照れ隠しを「ほえ~」とか「確かに」で流してんじゃないよ。あと、こういうときの山田、理解できるようになった事実自体を嬉しく思ってそうで良き。

 

・競争しよ! 明らかにこの時点で家に連れ込む算段を立てている。怖いよ。それにしてもこのコマしかり走るコマしかり、ずっとおっぱいでっけえな。失礼、リビドーが。

 

・首尾良く連れ込み。まぁた親のいぬ間に連れ込んでからに……。昼間だからええか。逆に、親のいる日に連れてくる方が難易度高いか。まして、みんなもいるならともかく、市川だけとなるとなおのこと。今の山田ってそれ出来るんですかね。

 

・山田ママの職業匂わせ。豊洲取材……雑誌記者かなんかか? 山田パパとのなれそめは有名フレンチの取材に行った際に……的な。にしては両方若いか。

 

・腹筋ローラー……からのTwitterでよく見るやつ。猪頭のあれ。一旦肘付けなさいよ。その体勢キープする方がよっぽどしんどいでしょ。この辺のくだりで一番ぐっと来たの、さすがに薄着過ぎたかと上着を着てきた山田です。触ったなら市川は即謝って誤魔化さないから胸に触ったのはわんたろうだろうし、ましてわざと触ってきはしないと信じつつも、それはそれとして無防備過ぎたという反省。

 

・パパのダンベルでっっか……。あとフローリングに直にダンベルはこっわ……。傷が……。ゴロゴロ持ってくるのでもそうだし、無理に持ち上げて→ダーン! が怖い……。怪我も怖いし傷も怖い……。そこそこのやつがつきますよ。

 

・「山田が持てないものを……」。コラ! 市川お前コラ! 

 

・ヤンキー3人衆のうち一名の名前判明。鵠沼くん。ニヤついてたってのはなんなんでしょうね。足立からなんか聞いてたのか、山田にいいとこ見せようとしてるんだなって揶揄いがこもってるのか、コミュ障の愛想笑いか、また別の思惑か。なんか後で「そういうことだったのね」って描写が来そう。「恥かかせてやろう」的なのはないと信じたい。それはそれとして、「やっぱやるわ」って言ってる市川もたぶんなんかニヤついてたのでしょう。

 

・「失礼ながら意外だね」。彼氏(彼氏じゃない)の口調を即真似るな~~!! 彼女面が過ぎるわ~~!! 理解者ヅラまでしやがってよぉ~~!! 最高~~!! 「柄でもないじゃん」的な言葉はこんなんなんぼあってもいいですからね。これと公園でのははーん顔、「友達だから」を聞いてからの薄い微笑みと、多種多様な理解者ヅラが山田にはあります。

 

・こう、今回はずっとそうなんだけど、休日にばったり遭遇してから普通に相手の家に行って普通に雑談してって距離の近さ・仲良しさが素晴らしいですね。

 

・足立に対する後ろめたさとかそれでも負けたくないって気持ちについては上の方で書いてるので置いといて、お弁当。市川の必死さをよそに呑気な……というわけではまったくない。気合い入れて下の名前で読んでるし、お弁当持ってこなくていいってのも自分を追い込むためである。彼女も本気で、彼らも本気。

 

・それはそれとして、こう、たぶん私がそういう漫画に触れすぎだからなんだけども、手作りのお弁当ってなんか一周回って逆に付き合ってない段階でのイベントって感じがしている。アプローチのための手段というか。付き合ってもないうちに一周回る意味がよく分かりませんが。

 

・次回はいよいよ体育祭本番ですかね。市川と足立の肉体スペック差は歴然だが、騎馬戦は馬のスペックも反映される。ガタイのいい鵠沼くんが頭となれば、多少は戦力差も縮まるのではないのでしょうか。なんの戦力分析やねんってところで、じゃあそんな感じで。