せんくつにっき

思うこと、感想、とかとか

僕の心のヤバイやつ感想『僕は大丈夫』

・大丈夫か、大丈夫ね、大丈夫なんだろうなぁ……もう。いやぁよかった、言葉もないよ。というかなに書いても陳腐になっちゃう。書くけどさ。

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・刈り上げはむしろ濁川君(イマジナリー市川)を意識してのことだったってことなんかな。自分が嫌いな市川と、自分を好きな濁川君との融合の、その予兆。前回の時点ではまったく思いもしてなかったけど。諏訪さんのほうを連想してたし。これっきり濁川くんが出なくなったら、それは市川の成長を感じつつも寂しいな。ま、一度の成長でそれまでの迷いが消えることはないので、変わらずたまに不安定なときに現れてくれるでしょう。「僕は僕だ」っつってるし。そうだったら嬉しい。

 

・自分を好きになることは難しい。それは、誰かを好きになるよりも。一方で、自分を好きになれないことは苦しい。「自分のことが好きな人が好き」って言葉があって、もちろんまったく悪いことではないけど、あれって「自己への肯定を”自分のことが好きな人”が肩代わりしてくれるから」という側面があって、つまり、自分を自分を好きになるのは難しいけど他人のことは好きになれて、だから自分のことが好きな人を好きになれば、間接的に自分のことも好きになれる……ということなんだけど、これってもしもその「自分のことが好きな人」が自分から離れてしまったとき、一気に自己肯定感ごと引き剥がされてしまいかねないという難点がある。そうならないためには、寄り添い続けること、あるいは寄り添いの中で真に自分のことを好きになれることが必要だ。そして、後者に関しては「自分のことが好きな人」が必ずしも必要ではない。濁川君が可視化したのが「イケるかも?」きっかけである以上、今回の市川が「自分のことが好きなあの頃の自分」を取り戻せたのは確かに他者との関係を通したものではある。だけど、踏み出したのは自分自身だ。

 

・ちなみに、「自分のことが好きな人が好き」に関しては、少なくとも市川の山田への矢印には該当しないんですよね。山田を好きになったときも、その自覚をしたときも、山田から市川への矢印はほとんどと言っていいほど向いていないので。(なんだったら、自分が自分を好きになれてない状態で他人の好意を受け止めることを避けてるようにも見える。)ちなみに、告白を断ってたり山田を諦めてなかったりからもわかるが、ナンパイも実は同じく「好きな人が好き」ではないようで、そのあたりがイマイチ嫌いになれないところでもある。

 

・繰り返しだけど、「自分のことが好きな人が好き」「好きになられたから好きになる」は別に悪いことじゃないです。それを拒否したまま、しかし自己肯定感もないままでいるよりは。少なくとも私はう思うし、中学生に限らずいくつになってもみんなそんなもんでしょ。普遍は悪性を意味しません。

 

・表現の上では濁川君が市川にハッパをかけた形になってるけど、濁川君も結局は市川だし、前回市川が山田に「大丈夫だ」と言ったことからもわかるように、あとはもう認めるか否かのとこまでは至ってたんですよね。いつまでも自分を卑下してオタオタしてるのを、自分でとうとう許せなくなった感じ。

 

・「僕」と「俺」。市川はずっと対外は「僕」内心は「俺」と使い分けていて、余裕がないときは「僕」が表に零れることもある。人間、隠してる内心の方を「本当」だと、自分自身ですら思いがちだけど、決してそんなことはない。その外面だって自分なのだ。いつも劣等を感じている「僕」市川がいるからといって、自信過剰な「俺」市川が嘘だってことにはならない。

 

・市川の中二病を「自分を守る盾」だったとしたいつぞやもそうだけど、二面性の片側を否定しないのがいいんですよね。その価値観が本当に好きだ。どちらも市川で、どちらも蔑ろにしていいわけではない。濁川と市川でニゴイチ、つまりニコイチっての思いついたんですけど、別にうまくはないですね。

 

・送辞はあれ、結局どうなんでしょうね。練習してたからなんだかんだ覚えていたのか、完全アドリブなのか、その中間の覚えきれてない部分に自分の言葉を混ぜたのか。流石に完全アドリブってこたぁないと思うけど、萌子のツッコミのとおり在校生代表としての文面にしては……って部分もあるし、まあ一部アドリブって感じなんかな。それにしたってすげぇ度胸だと思うけど、それが市川なんでしょう。個人的には「そんな単純な~出会ったから」がアドリブっぽいなと思ってます。

 

・最後のモノローグで「ファイナルバトル」っつってんの、市川の成長具合も加味するといよいよ物語の終わりを感じてしまってやまない。いやまあ、ずっと続くナンパイとの因縁がって意味なんだろうけどさ。

 

・もはや前置きとは言えないくらいの分量になってしまったが、とりあえず頭っからいきましょう。個人の感想です。

 

・困ったときのおねえだより。「バーン」のおねえが可愛くて好きっすね。普通にヤバイ事態なので言動に反して冷や汗の量は多いが、それでも可愛い弟に頼られたからには!って感じが詰まってる。頼れるが頼れない感じがいい。エッチなブツは知らないけど、枕元には山田が載ってるモデル雑誌があるよ。

 

・にしても出番まで10分て。式始まってすぐじゃないか。送辞と答辞はくっっっそなげぇ来賓紹介だの祝電だのを乗り越えた先にあった気がするし、なんにせよ漫画的都合を感じさせられる時間配分だが、今はそんなもんなんかな。

 

・流石に市川のことだと聡い山田。なにごとか誤魔化されたのを察知して、だけど追及はしないあたりに関係の熟成を感じられて良きです。熟年夫婦かきさんら。「大丈夫」なのもちゃんといい。市川が大丈夫なのは知ってるからってか。かーっ! 理解者!

 

・秋田けんたろう授与。結果として励みをくれたお守りになったけど、ここの山田、なかなかなことしてる気がするんですが。「市川の様子がおかしいが、ほぼ間違いなく送辞のことであり、おそらくは大役に対し不安になってるものと思われるため、自分のキーホルダーを渡して心の支えにしてもらう」みたいな思考ってことですよね。「このキーホルダーは市川にとって心の支えになる」という自認、あまりにも光が強すぎる。

 

・爆走おねえ。ヘルメットがポルコスタイルだ! 私これ好き! 女子を紅の豚で例えることの罪はどんなもんなんでしょう。

 

・場面変わって卒業式、原稿はいまだ届かず。卒業生に伝えたいことなんてないのは、まあそうね。市川じゃなくても、個々人ならともかく卒業生全体に伝えたいことなんて大体の在校生には一ミリもないよ。

 

・担任の先生男泣き。いい先生……なんでしょうね。ちょっと暑苦しいけど。少なくとも前回書いた「孤立して休みがちな生徒が、在校生代表として送辞をするまでに成長、担任の評価も増」みたいな性格の悪いやつはなさそう。ただただいい人で、暑苦しい人だ。

 

陰キャ陰キャのままで、あの頃の僕はもういない。「原稿を忘れる」という失敗によってまたネガり始めた市川を叱責する、謎の声。壇上にあがるとそこには――。毎度カッコイイ登場するなこのイマジナリーな存在。「俺だぞ!」のコマは震えますよ。最高じゃないですか。「自分で自分を認めてあげる」シーンがこんなに熱いことありますかね。「目をそらすな」もいい。くそ、惚れてしまいそうだ。イマジナリーのくせに! イマジナリーのくせに! 

 

・送辞スタート。吹っ切れたからかちゃんと声も届いてる。吉田さんが反応してるのがなんかいいですね。人のいい吉田さんのことだから、若干は心配してたんじゃないでしょうか。そう考えると前回のリーゼントも、気合を入るようにああしたという解釈ができなくもない。よく言うじゃないですか、髪型も決めて気合充分だって。

 

・「山田=光」は君、もはや恋とかそんなレベルの感情じゃないですよ。これで山田も市川には似たような感情を抱いてるので、結局はお似合いなわけですが。ただやっぱ重さで言ったら市川に軍配があがるのかなと私は思ってます。あまり表には出ない重さ。山田も重いけど、内心が出ないからこそ重く「見える」ということじゃないかと思ってます。

 

・送辞の文章はあまりに良すぎるので、マジで書くことがないです。というかニュアンス的なことは冒頭に書きつくしたので。

 

・送辞終了。燃え尽きたよ、真っ白にな……。人は急には変われません。小学生のころの愚民モードが鳴りを潜め、卑屈になってたのは中学校の二年近くの間だけだが、この歳での二年はとても長い。ブツブツ言ってるコマもかなり無理をしてるようにしか見えないが、なんにせよよく頑張りました、だ。

 

・保健室、市川と山田とナンパイと。ファイナルバトルの開始ですが、勝敗なんてのはもはや覆すこともできない状態で、あとはナンパイがなにを二人に残すかだけの話なわけです。どうすんだろ。市川の前で山田に告白とかすんのかな。

 

・ここまで。