せんくつにっき

思うこと、感想、とかとか

僕の心のヤバイやつ感想『僕は他人』

・えらく不穏なサブタイでちょっと身構えたけど、全然大丈夫でしたね。半沢さんは良い子。

mangacross.jp

・ちょっと短いか? と思ったら、いつもは12ページなところ今回は全部で10ページだった・・・・・・が、山田の内心の開示! 限りなくモノローグに近いやつ! このレベルのはたしか初めてで、余裕でお釣りが来ますね。最近は神の視点で山田しかいない(市川の知り得ない)場面が描写されることも増えてきたけど、基本的にずっと市川のモノローグで進んできた作品だ。いやぁ、どっかで来るだろうとは思ってたけど、ここでこういうカタチで来るのね。

 

・あんまり時間もないし、頭っから行きましょうか。個人の感想です。

 

・半沢さんはミタ。「別になんもしてないしな・・・・・・」じゃないよ市川。お前つい数瞬前に口から出そうとしてた言葉を思い出せよ。というかそもそもカーテンの裏で男女2人が向かい合ってる時点で「なんかしてる」でしょうが。距離の近さに慣れ切っちまって忘れちまったのかその純情を。

 

・半沢さんが特になにも反応してないから・・・・・・でカーテンしめて仕切り直そうとする山田がちょっと面白い。そこでやり直すのはもうムリでしょ。いやいじらしいんだけどね。市川が言いかけてたのがたぶんそれなりに大事な言葉だってのは山田にもわかって、それはともすれば心待ちにしてる『もしかして』もあり得て。少しずつ築いてきた距離と時間を大切に思ってるけど、いやだからこそ、より近づける一瞬のチャンスは逃したくないのだ。そういえば、市川発の告白キャンセルはこれで三回目(1on1、ホワイトデー)だが、キャンセルを山田が察したのはこれが最初になるのかな。だからなにではないですが。

 

・音も無く近づいていたハンザワサン!! 興味津々じゃないか。なんにもごまかせてないし。やはりこの作者の描く(見た目)クール系美人はポンコツ。例外はない。思ったよりも表情豊かなのが意外と言えば意外か。これ、誤魔化しにミスった恥ずかしさでは普通に赤面するのにただならぬ2人を見ても表情に変化がなかったってのは、つまりホントに色恋がよくわかんないからってことで、普通にちゃんと感情が顔に出る普通の子なんでしょうね。感性が若干ズレてるだけで。

 

・席替え。気を回す半沢さんにはナイスと言うほかないけども、この行動に祝祭女(安藤さん)はどこまで噛んでんのかな。のちの独白を見るに、この件(山田と市川)に関してはそもそも共有してなさそう。「図書室で告白未遂発生」なんて教えちゃうと親友がどう動くかは目に見えてて、すると「去年の2人」の再来になるから、いったんは胸に秘めたとか。

 

・なんにせよ、主人公席とその真隣ってのはすばらしいポジション。なにせイチャイチャを後ろから見られることがないのだ。懸念が無くも無いけども。祝祭女はもとより、市川の前の席にいる例のモヒカンデカ男も地雷の心配がささやかれている。なんか、小学校時代に山田に気がある風の描写があった不良と同一人物説があるんですって。主に髪型から。

 

・祝祭女が本当にパンダ呼ばわりされている・・・・・・。こう、種族名呼び捨てはちょっと雑な感じがしてギョッとするな。あだ名(それこそカンカンとか)は別に呼び捨てでもなんとも思わないのに。

 

・「まずまずだな・・・・・・」。さすがにキモ。これでときめくのは市川キメすぎですよ山田さん。というか、「まずまずだな」ってまあまあ喜んでるやつじゃねえか。他人のふりにはなってねえよ。

 

・「辛いなぁ」。教科書に書かれたせいいっぱいのフォローがもの悲しい。いくら関係を隠すためとはいえ、他人のふりまでするのはそれこそ少々自意識過剰というか、過剰防衛な気がしないでもないけれど、これでも2人(というか市川)は真剣だし、自分で傷ついてもいるし、「これでいいのか」とも思っているのであまり言えない。

 

・市川ネガティブモード発動。たった一日かそこら「距離感に気をつけた」「全然話せなかった」ってだけで、やれ疎遠になるかもだのうんざりされたかもだの考え出す市川がたまりませんね。特上の青春。ところで冬休み直前の『僕は山田が嫌い』についてですが・・・・・・。さすがに深読みだけど、手紙書いてるとこの山田のコマ(P7左下)、あのときにごめんねって泣いてた山田の構図と似ているような気がしないでもなくもなくない。なくない?

 

・半沢さんへの手紙。冒頭にも書いたけど、山田の内心の開示(言語化)ってのはたぶん今回が初で、大変に素晴らしいことだ。内容も最高。まあ厳密に言やぁあらゆる言動が内心の開示であり言語化ではあるけどさ、そこのニュアンスの違いはわかるでしょう? 

 

・「付き合ってるわけではございません(4月23日現在)」。「(4月23日現在)」←ここ重要。筆圧もちょっと強くなってそう。こう、解釈にはよるけども、日付まで書いてるのは「明日には付き合ってるかも」みたいな攻めの姿勢ゆえというよりは、むしろ「今はまだ」と書くのがあまりにも今後に期待していることを匂わせすぎて恥ずかしいけど、「付き合ってません」だけで終わらせるのは乙女的にイヤだから、期待する自分の匂いを誤魔化すためにわざと硬い書き方にしたんじゃないかと思う。

 

・なんでかって、手紙の中で敬語と砕けた口調が混ざってたり、書いてる最中の山田が感極まって涙ぐんでいたりすることからもわかるけど、わりとライブ感で書き上げた手紙なんですよね。だから、手紙の最初のほうは逆にある程度冷静に書いてるんじゃないかと思うんです。個人の感想ね。

 

・「見ているのが辛いくらい」。この手紙のなかで一番旨みのある部分だ。私の表現きもちわりいな。「私」を消して「人」にしてるのはご愛敬。実感するのは「私」を想ってくれてるところばかりだけど、例えば原さん達へのアシストだったり、優しさの対象が「私」ばかりではないところも知っているのだ。

 

・付き合ってはないけれど、とても仲がいいのは間違いないし、「いつか」を意識した関係でもある。だけど、2人の積み重ねが大事だから、そっとしておいてくれると嬉しい。嘘偽りが一つも無い、どこまでも正直な本音の手紙。ハナから関係を悟られまいとしていた市川とは真逆のアプローチ。授業中だぞお前ってとこしかケチのつけようがないですね。

 

・翌日。こう、山田の計画ではたぶん「手紙の効果で半沢さんが気を回さなくなる」→「一番核心に近づいてる半沢さんでもそこまで干渉してこないのだから、勘づいていないクラスの大多数の前で過剰に他人のふりまでしなくてもいいのかも――と市川が考える」→「元の態度に戻る」→「Happy!」みたいな流れだったんだろうけど、理外の手紙の覗き見により最速クリアだ。「市川が手紙を読むところまで計画のうち」説はわが学派では不採用です。

 

・半沢さんの内心。むんってなってるの可愛い。春に別れた「去年の2人」がどうやら軽いとげになっているようで。友情や憧れとは違うの?ってことは逆説的にそれらのことは知っていて(つもりで)、たぶん安藤さんに抱いてる感情なんでしょうね。そして「私"たち"は」。

 

フラッシュモブでのカップル成立が文化祭のことで、別れたのが春休み。そんだけ空けば、別れたのをフラッシュモブだけのせいにするのは無理があるかもしれないし、案外そのうちヨリを戻すかもしれないけども、あのときああしなかったらどうだったかなんて誰にもわからないし、だから語ることはできない。まして、引っかき回した側からをそれを言うなど。

 

・「いーっぱい教えてあげる」。今から百合やんの?! 正気か?! 冗談は置いといて、こう、山田が恋について教える側に立つの、これが初恋のうえにまだ成就しきってもないくせによ・・・・・・ってなる。いやなんも問題ないんだけどさ。相手は恋愛情緒ひまわり組だし。

 

・安藤さんと半沢さんに一通りスポットが当たったことだし、次回あたりから男子の新キャラにスポットが当たるのかな。席も前後ろになったし。じゃあ、ちょっと短いけどそんな感じで。