せんくつにっき

思うこと、感想、とかとか

僕の心のヤバイやつ感想『僕は直視できない』

・ほろ苦ですね。このところドンドンドンと極甘が続いてきてたところにこれ。ある意味、読者以上に市川のほうが落差でダメージを受けているようにも見える。

mangacross.jp・最後のアオリがまさにそうで、忘れかけていたからこそ、改めて実感したときに強く感情を動かされる。モデルとただの学生という格差は、もともと市川自身が強く感じていたことだ。「別の世界の人間だ」と、一巻の時点、ファッション誌に載った山田の別人のような雰囲気を初めて目の当たりにした瞬間から。それを理由に、だからどうせ無駄なんだと、そうやって自分の心を押し込めていた過去があって、それからいろいろなこと(本当にいろいろなこと)があって、山田との格差のことなんか忘れかけ、自分たちは少し似ているとまで思えるようになったところに、これ。熱が引くような冷や水……と呼ぶほど大きな出来事ではなく、ここから自分の恋心を無視するには、市川自身のそれが取り返しのつかないほど大きく、そして山田を近くに感じすぎている。

 

・きっかけが些細ってのがまたいいですね。「出来事」と呼ぶのすら烏滸がましい。これがもっと大きな出来事(例えば「相手はモデルなんだから諦めろ」みたいなことを近い人間から強く言われたとか)であれば、反発心でなにくそとなったり、あるいはそれによって市川に生じるであろう大きな変化を山田自身が嗅ぎつけ、なんやかんやで解決に向かいそうなものだけど、今回のこれはそんなレベルにはない、ほんとうに些細なこと。もとから市川の心に刺さってた棘を、改めて実感しただけのこと。

 

・最後の一ページに心を奪われすぎてますね私。根本的な嗜好として「こういうの」が大好きなのだ。もちろん甘々も好きですけどね。ま、別腹別腹。とりあえず頭っからいきましょう。個人の感想です。

 

・お、太田が!! 太田がシャベッタァァァァ!!!!! っつって、前回もチラッと喋ってたかたしか。「体積のわりにキャラが薄い」「ほとんど背景みたいなもの」「ただ名前があるだけのモブ」でお馴染み太田くんだったが、今回晴れてキャラの掘り下げがなされました。アイドルオタクのようです。それも少々思想強め……というかめんどくさめのオタクだ。「推しだけはガチ」を信仰するオタクは厄介の素質ありですよ……。まあだからって好きなくせに腐すオタクも厄介は厄介だが。関係ない話ですね、すいません。檸檬坂ってのはパロディなんかね? どっかにあってもおかしくなさそうなグループ名だけど。私は「アイドル雑誌」ある存在も初めて知りました。

 

・で、そんなファッション雑誌とは毛色の違うっぽいやつに山田(秋野杏奈)がデビュー。市川の反応よ。『ガタッ』はこれたぶん市川だよな。山田のこと大好き過ぎる。ところでこういうの、インスタとかで告知なさらないんですかね。してたとしても市川もそんなしょっちゅうチェックしてないか。

 

・ちょっとコマを戻して、友達の距離感について考えてる市川。言うまでもなく、山田との距離感が(というか山田からの距離感が)友達のそれなのかで悩んでるんでしょう。もっと友達を作りたいとかそんな殊勝なあれではない。それにしてもどうなんだろう、友達にしては近すぎると結論づけたら、市川は告白を実行するんですかね。

 

・クラスメイトを程度の低いとか言わないの。ほかはともかく神崎くんは性癖破綻者かつ聖人なんだから。ここが両立してるのやっぱどっかおかしいよあいつ。中学生なら自分の性癖に呑まれておかしな行動を取りそうなものなのに。

 

・図らずもおかしな距離感を発揮してしまう市川。この神崎くんとかの怪訝な顔といたたまれない雰囲気、心に来ますね。二回目でフォローしてくれた足立、勘違いしているしゲスだけどいいやつ。ゲスだけど。ここのフォローなしでの乱○やらハメ○り発言は、好感度的に下へ振り切れるとこだった……いやあんまり関係ないな。ちょっとゲスな性欲がしんどい。あ、乱○発言は神崎くんじゃん。冤罪だったわ。

 

・ファッション誌とは全然違う、いつもに近い山田。このあたりも、最後のページの市川の心情にかかってきてそう。市川にとっての「仕事をしている山田」は、おそらくその中で一番目にしているであろうファッション誌の山田で、いつも学校で出会う山田とはまったく雰囲気が違う。初めて見たときは気づかなかったほどに。逆に言えば、学校での山田を見ても、モデルとしての山田をそこに重ねることは少ないだろうと思われる。そこで、同一人物であることはもちろんわかっているけど、どこかで別人判定のようなものをしていたとしたら。「モデルの山田と学校の山田は同じだけど、学校の山田とモデルの山田は違う」みたいな矛盾した思考があったとしたら。今回、「いつもみたいな山田が仕事をしている」姿を見ることで、学校での山田から仕事をしている山田への連想が強く繋がり、最後の2人の違いを改めて実感するということに繋がったのでは……みたいな。長々書いたけど妄想ですからね。

 

・アイドル売り……つまり水着グラビア! ほんとに偏ったイメージで笑う。笑うけど、その偏りが私にないかと問われると……。だってちょこちょこ48系のアイドルがマガジンとかサンデーのあれですね、ここで太田が苦言を呈すの、アイドルオタクの質感が高くてそれも笑う。オタクはこういうことを言うし、内容としては正論だけど、それはそれとしてオタクっぽいと笑われてしまうやつ。イメージの水着山田は、なんというか、いつもTwitterでこれより過激なのを作者直々に描いてるせいか、なんかおとなしいなという気がしている。作者が悪い。

 

・恋愛禁止発言に衝撃を受けてる市川、かわいいですね。恋愛禁止じゃなかったら付き合えると思ってるのかな? 関係なく付き合えるからさっさと告白しろ。ウソ、自分たちのペースで距離を縮めていってください。

 

・【悲報】コロ学、クソ番組だった。知ってた。Eテレの番組なんて7割クソですよクソ(偏見)。にしてもこの、テロップに顔が被ってフリップには「あんずの存在意義」って描いてる画面、なんか凄いヤな感じだな。そんなつもりはたぶんないだろうけど、陰湿な悪意を感じてしまう。そんな漫画じゃないと思ってますけどね。

 

・【超絶悲報】コロ学、性が乱れていた。なに、やっぱモデルは例のメンバーMCだった番組かい。あれ? 事件とコロ学初登場と、どっちが先だっけ……? どうでもいいか。そんで「山田にはエロであってほしい」ってお前、山田で抜けなくなったとか言ってませんでした……?

 

・ゲスな下ネタにツッコみながら苦言を呈す大田くん、私の中での好感度が微増したよ。ハメの○りのでワハハってなってるときも、簡単作画だけど笑ってはない感じだし。

 

ナチュラルに2人の下校風景。足立たちと何か話してる市川発見伝。山田が妙に嬉しげなのは「学校が楽しくなかった」と言ってた市川に友達ができそうな雰囲気を感じてのもので、目線が家族なんよ、もう。ツイヤバ内では結婚願望まで抱いてる節を見せている山田、市川のことが好きすぎる。

 

・山田の仕事について聞いてもいいものか。嫌なんじゃないかと悩んでは考えすぎだったと気づくこの一連の流れ、様式美ですね。わざとらしく雑誌を見せる山田、顔が卑しくて可愛い。「かわいい~」っつってる顔よ。そしてこれは罠で、迂闊に可愛いとか言うとまた山田はぶーたれます。私には言ったことないのにって。そういえなこれどうなんだろう、足立と市川が話してる様子に山田が反応しているが、このとき机に広げられてたであろう雑誌にも気づいたのだろうか。気づいてるかどうかでここの小芝居の質感が微妙に変わる。

 

・仕事の話を「どうでもいいか」で取りやめる山田。市川は聞いちゃダメかなって思ってて、山田は話しても興味ないかなって思ってる、この気ぃ遣いどものほんわかしたすれ違いよな。ここでスルーせずに、拙いながらも褒める市川がご立派。

 

・「市川が見慣れてるってことは」から「ううん」までのこのやり取り! 市川の前では最高の自分であることを心がけてるから、市川が見慣れてる雰囲気ってことは最高のコンディションなのだと。凄い自信だ。気を遣ってるのはわかるけど、ガバいとこもありますよね。そんで、「ううん」の顔だけど、もう好意が漏れることすら楽しんでませんか。別に焦った風な顔でもない。

 

・ファッション誌も見てること、とうとうバレた。正月のあの押し倒したときは結局気づいてなかったんかな、じゃあ。照れてる2人が可愛いですね。ここのところ毎話のノルマみたいになってるが、毎度可愛い。最近はこの「あにゃにゃ」みたいなのが作者のお気に入りなんだろうか。

 

・仕事が好きって質問に、ここまで衒い無く肯定できるの、市川とは違う意味で眩しいですよ私は。別に仕事じゃなくてもだ、自分の「好き」をこうも迷い泣く肯定できるってのはね、出来た方がいいことなんだけど、やっぱ眩しい。

 

・私のことはどうでもいいんですよ。まあ、ここの感想は冒頭で結構書いちゃってるので、あれ以上はちょっとあとまわし。時間もないのでとりあえずここまで。