せんくつにっき

思うこと、感想、とかとか

200123日記 なめらかに

・木曜日終了。あとは明日で平日終了だ。チョロいね。そいであれだ、来週が終われば二月に突入する。何度も何度も日記に書くようだけど、ちょっと怖いくらい時間の進みが速い。

 

・『なめらかな世界と、その敵』を読了した。昨日。いやー、無茶苦茶面白かった。全部の短編が刺さったわけではないが、『美亜羽へ送る拳銃』と『ひかりより速く、ゆるやかに』がかなりお気に入りで、特に『美亜羽へ送る拳銃』は、今までの読書体験で5本指に入るほど面白かった。

 

・結局、愛だの恋だのの話が好きなんだなという自嘲もあるが、そんなものは今のところ一笑に付せるくらいには、読んで一日経った今も余韻が残っている。余韻がよいんよいんしている。

 

・これはあれだな、友人に勧めよう。電子書籍版を買ったのがちょっと失敗だな。無理矢理貸し付けるという手が使えない。

 

・短編の並びも良かったのかな。『ゼロ年代の臨界点』と『シンギュラリティ・ソウ゛ィエト』、イマイチフラストレーションが溜まるというか、個人的に爽快感はあまり無い類の短編だったところに、『美亜羽へ送る拳銃』『ひかりより速く、ゆるやかに』と、爽やかに明快なオチのつく話を持って来ており、一塩の読後感を与えてくれた。

 

・『美亜羽へ送る拳銃』の話。ネタバレあり。個人的な好みとして、『ごちゃごちゃ難しいこと考えるけど、その根源に恋愛感情があるし、それに気付いてないやつ』と、『恋愛感情を自覚した上で、計算高くそれを成就させようとし、かつその想いは本物なやつ』が好物で、そこにぶっ刺さったカタチになってる。前者は例えば初期の市川京太郎とかで、後者は戦場ヶ原ひたぎとか。男女がどっちでも構わないけど、見る作品の傾向的に前者が男、後者が女であることが多い。

 

・人間って変わるものだし、いつまでも変わらないものでもある。変わるには累積的劇的問わずのきっかけが必要で、人生という多くの場合刺激多い旅路においては、どうしたって変わらざるを得ない。語り部たる主人公は、その語る限りの範囲において、あまり『変わらない』印象を受けた。それが、あの結末では、どうやら完全に自らの内心によって、(あるいはパートナーの言動もあって、いずれにせよ機械的な干渉は無しに)さっぱりと変わったようだった。それほど、美亜羽を殺して話したあの時間が、変わるきっかけとして大きいものだったのだなと感慨深い。

 

・戻ってきた美亜羽が、いろいろと自らによって暴露されたのを踏まえて、どのように変わったのかも興味深い。知られたという事実も、変わるきっかけとしては大きいだろう。まあ物語的には蛇足だけども。