せんくつにっき

思うこと、感想、とかとか

僕の心のヤバイやつ感想『僕は溢れ出る』

・いやぁ・・・・・・もう・・・・・・ねぇ・・・・・・。感嘆というか安堵というか、感傷というか歓喜というか、なんかもうネガティブ以外の色んな感情が混じった長いため息が、読み終わったあとに肺から出た。予告で若干暗い雰囲気を漂わせていたので、逆にそれを解消させるカタルシスがある神回なんだろうなとは身構えてたけども、案の定を超えて来ましたね。本当にこの漫画が好きだ。死ぬほど。

mangacross.jp・読んでると感想がまとまらないので目を閉じて思考に集中しようとするも、思い返す内にすぐにもう一回読み返したくなり、そして読んでまたぐちゃぐちゃになる。読み終えてからしばらくはそんな感じ。至福の時間ですね。コンテンツに対する「好き」で息が詰まってるこの感覚、最高。

 

・マフィン→ブレスレット→待ち望んでた言葉と、結果的にめちゃくちゃたたみかけた形になってますね。そりゃ山田も幸せ過ぎて泣きますわ。そこの涙最高。うれし涙ってそういや今までなかったのかな。ちょっと思いだせない。バレンタインに山田から渡したのもたしか3つ(大量のチロルチョコ、食いかけのチョコまん、マフィン)だが、どう考えてもそれぞれグレードアップしており、なるほどこれが3倍返し・・・・・・! 参考にな・・・な・・・なる・・・・・・かなぁ・・・・・・?

 

・とにかく市川が良く頑張った! 自己評価の低い子が好きな人を想って自己嫌悪を振り切るってのはもう、どうやっても最高ですよ。まして推しの二人だ。最近の送辞→保健室→今回の流れもそうだが、ここしばらくは市川と山田が順繰りに「頑張って」は互いにちょっとずつ距離を詰めてく展開だけど、口さがない読者はこの焦れったさを揶揄したりしていて、ホントやかましわって感じですね。これが二人なんです。二人の空気なんです。

 

・とはいえとはいえ。もはや二人とも互いの好意に確信を抱いてる状態に疑いはなく、ちょっとずつ詰めるとは言っても二人の距離はどう見繕っても一歩分しか残っていないように思う。たったのあと一歩。仕事や進路の話が間に挟まるのかもしれないけど・・・・・・一旦は付き合ってほしいなぁ~~~~~~!!!!!! 二人の関係になにがしかの障害が割り込んでるにしても、想いが成就してるか否かで味が全然違うので!!! これはただのオタクの、ただの好みの話であってどっちが良いも悪いもないんだけど!!! 私はとにかく付き合ってほしい!!!!!!!

 

・今回の感想も終わらせずに先の話をしてもしょうがないんですよ。鬼も笑いを通り越して呆れますわ。ということで冒頭から生きましょう。間違えた、行きましょう。個人の感想です。

 

・前回の(笑っちゃうくらい)勢いのある衝撃のラストから、若干シリアスなモノローグスタート。嫉妬と劣等から来る焦り、失言(当人感覚)。これは「もし神崎が好きになってたのが原さんじゃなくて山田だったら」みたいな想像(妄想)由来なんでしょうかね。神崎と原さんの進展具合、上手くやってる神崎に嫉妬してるのであれば、焦ってそれをぶつける先は神崎ではないでしょう。行動に移せるかはともかく、そういう嫉妬から生まれる感情は「自分(たち)も早く・・・・・・!」となるはずだ。

 

・衝撃を受ける山田の図。前回でも描かれてたが、こんなん何回あってもいいですからね。しれっと原さんも聞いていて、たぶん山田ほどじゃないにせよ赤面してるんでしょう。あんた神崎から山ほど直球投げられてる(野球部だけに、な!!!)でしょと思うけど、だからこそこんな絞り出すような言葉には慣れてない説。

 

・「だ、だ・・・・・・大好物のカレーを~」よし! 上手くごまかせたな! なわけあるかよ! 「なァァァ」じゃなくてさ。市川のモノローグの傍らで神崎になにやら耳打ちする原さん、ここでようやく情報共有がなされたってことですかね。山田と市川の関係について。どう説明したんだろう。

 

・「男として劣っている」。まぁた自分のことが嫌いモードに入っちまった。送辞前に逆戻り。親密に耳打ちし合ってる神崎原ペアと、まる二人分の距離が開いてる自分たちを比較して落ち込んでそう。それも今は山田の好意に気づいているから、前の二人と条件は五分のはずで、なのにこの距離が詰まっていないのは自分の劣性のせいだと、そう市川のなかで説明がついてしまう。もちろんそれは大間違いで、一番最後で市川も気づいているが、関係の進み方なんてそれぞれのものであり、人と比べることではないのだ。

 

・自己否定モードの市川。「身分不相応だ」のとことかさ、直前のコマで眼が据わってたりフキダシが震えてたりと、なんか若干泣きそうになってないすか。か弱い生き物・・・・・・。言葉の内容は市川がずっと抱えてる「山田に対する」劣等で、半ば自棄になってんでしょうね。

 

・それにつけても神崎は良いやつですね。性癖がねじくれてるけど真面目で良いやつ、かつ愉快。同性であれば誰とでも簡単に、かつ仲良くなり続けられるタイプだ。恋敵以外は、だが。ある程度ストレートに物を言うことは前回のスイパラで市川も理解していて、だから今回の言葉もおためごかしやお世辞じゃないって素直に受け取れるんでしょうね。自己否定モードが一瞬で崩れてんじゃないかよ。可愛い生き物・・・・・・。ただまあ、コイツはたぶん相手の人格・性格を一定程度認めていれば「お似合いかも!」って言うタイプだと思いますね。褒め言葉はウソではないと思うけど、「いいやつだってみんな知ってる」なんかはホントかー?案件だ。市川がいいやつなのは間違い無いが、ストレートで分かりやすい良いやつ(それこそ神崎みたいな)ではないし、足立周辺や山田グループよりも「遠い」位置に対しての善性が知れるイベントも少なくとも作中にはない。少し前に作者がTwitterに上げてた「モブ目線での印象グラフ」でも「良くないひと、かつキモい」って評価だったはずだし。ウソではないとしたら、純粋に世界を見てるタイプだろうか。

 

・あれ、まだ3ページだ・・・・・・。かかりすぎじゃないですかね、時間も文字も。まあいいや。神崎としてはスイパラでの「好きだ」も含め、毎秒告白を連射してるつもりらしい。そんなこっちゃろうとは思ってたけども。これはこれで市川とは違うタイプの不器用さ、見えてなさだ。

 

・「なし崩しに大人の関係に・・・・・・それもいいか!」。あ、ようやっとチンポが出たなって感じだ。あー安心した。なんか前回からずっとひたすら良いやつとしての描写ばかりだったので、こうやって前向きにねじくれてるとこも見せてくれるとなんか安心する。人として欠けてるというか、あまりに性欲が強すぎて比較すると他の要素が欠けてるように見えるというか。それでこそ神崎。ところで君初期のほうは自分の性癖をもうちょっと恥じらってませんでした?

 

・神崎が「あれ?」っつってるコマの原さんの表情、ちょっと良くないですか。ちょっとした企みを隠しているけど、企み自体とそのあとに対する楽しみな感じが隠しきれていないような顔。そんでこの二人きり作戦、山田と市川に対するアシスト以上に、自分達も今から二人きりになるわけで、そのあたりに対する期待もあるんじゃないでしょうか。あったらいいな。

 

・男子同士の恋バナの合間のここが、どうやらそれぞれ二人きりになるための算段を立ててるとこなんでしょう。たぶん提案は原さんからなんじゃないですかね。今回市川を誘ったことと言い、あなた働き過ぎですよ。気遣いと優しさの人、原さん。もはや天使。山田も市川も足向けて寝られませんよ。ついでに私も。

 

・「あれ~~?」可愛い。下手くそ可愛い。くそ真面目に推理してる市川ガン無視してるのもいい。山田に引っ張られてようやく事態を察したくせに下手だのなんだの言う市川も、圧で誤魔化す山田も可愛い。主張を一切見せずに退場した神崎は何考えてっかわかんないので可愛くないが、ストラップ捜索や今回の察しの悪さ考えるに説明受けるまで理解できてないんじゃないでしょうか。じゃあかわ・・・・・・うーん。神崎だもんなぁ。

 

・クレープ食いながら分かったような口を聞く山田。恋愛絡みだと「○○の話ね!」がその人自身の話であることを理解できないのはバヤシコくらいなものなので、流石に市川も誤魔化されはしないだろう。もちろん山田は本心から原さんたちのことを言ってるつもりだろうけど、自分の感覚が多分に含まれているのは言うまでもない。ところで、ここで「僕たちのことか・・・・・・?」みたいになってる市川、感慨深い。今までなら絶対そんな発想にならなかったし、なってても態度に出さず自分で考えを打ち消してたでしょ。

 

・帰路につく二人。山田としてはもうちょっと二人で居たかったんだろうけど、市川のメンタルコンディションがよろしくない模様。どうにもうまくいかずに落ち込んでいるのはバレンタインの山田と被る。時間は夕暮れ時なんかな? いまいち集合時間やスイパラの滞在時間がわかんないけど、二人きりになってから行ったのはクレープ屋くらいのものなのだろうか。山田からせっかく小芝居打ったのにな、という残念さがうかがえる。それを口に出さないのは純粋に臆病故か、市川の態度からなにか感じ取ったか。

 

・後日別のものをあげよう。その話のうちに回収されるのも「伏線」と呼んでいいのかはわからないけど、しかしここを抜きにしても今回は色んな伏線を回収していて、こんなことも出来たのかと感嘆しきり。前回のキレキレのギャグはまあ作品としては多少珍しいものの作者の専売特許であるのに対し、話をまたいだ伏線回収は作者としても珍しいんじゃないかね。これすごいのが、過去にTwitterに掲載された未来の一場面(ややこしいな、海に行ったやつです)で今回のブレスレットらしきものつけてるんですよね。最初のやつとか一年半以上前ですよ。いつから考えてたのかはわかんないけどさ。

 

・こんな人間でごめん。誰に、なにに対する謝罪なのか。心の中に確かにいるのに表に出してやることができない、素直な自分に対してか。こんな自分を好きになってくれたのに、なにも返せない山田にか。神崎のように好きな人をうまく喜ばせることも、まっすぐな言葉も気の利いた贈り物も用意することもできないからか。なんにせよ重傷だし、一方で諦観に酔っているとも思う。

 

・ちゃんとした人間は、想いのままに行動すれば、ちゃんとうまくいく。神崎のように。自分は違う。自分は劣っているから。劣等そのものと、他人と自分を比べて落ち込んでしまう性根も含めて、誰かと想いを重ねることにそもそも向いていない。だから、素直な行動では決してうまくいかず、自分が納得する行動を取らなければいけない。・・・・・・ではないのだと。そんなものは「素直な行動を取るための努力」や「想いを拒まれる恐怖」から逃げているだけで、そしてそれから逃げ出したいのは自分だけではないのだと。みんな頑張っている、自分が尊敬し、同時に劣等感を抱いている山田だって、あのとき頑張っていたのだと。向いていないから頑張らなくちゃいけないのではなく、たぶん誰しもが頑張らなくちゃいけなくて、そして山田は頑張った。だったら、山田の隣に立つために、そんな自分になるために、市川京太郎がしなくちゃいけないことはなんだ。

 

・『お前は山田のことだけ考えろ』。登場してないのに濁川くんが思い浮かびましたよここ。いやぁ~かっくいいねぇ! 流石男子!・・・・・・と、親しみやすいおねえさんキャラが謎に頭をもたげてくる。覚悟を決めた市川の顔はずっとかっこいいですからね。

 

・「あのとき」の山田の頑張りに気づけるのは、山田からの好意に気づいたからだ。自分を認めてやって、ようやく山田の好意に気づいた市川が、また自分を認められなくなったとき、一度気づいた山田の好意に救われる・・・・・・というのは、なんかこう美しいですね。気づきのきっかけはやはり山田の頑張りで、心の底からお似合いだ。

 

・「手づくり」「アクセサリ」。伏線回収というやつですね。まさしく。ブレスレットを贈る意味となると「束縛」「独占欲」だのが出てきて、なるほど市川にぴったりじゃないと黄色い悲鳴を上げたくなるが、ここで水を差させてもらいますと、ブレスレットに限らずアクセサリーのプレゼントなんてだいたい「そう」じゃない?

 

・マフィンのなかに仕込むの、思いついたときや用意してる途中はわりと浮かれてたのかなと思うと微笑ましくなる。そう考え出すと、今回の市川の葛藤って「夜なべして書いたラブレター、一晩置いたら恥ずかしくなった」みたいなもんとも言えなくもない。まあ、市川の習性を考えると、2つ用意したら無難なほう(マフィン)だけ渡してもう1つは渡せないってパターンが一番ありそうなので、間違い無く妙案ではある。ロマンチックじゃなくてそっちを見越してたのなら相当にクレバーだ。

 

・原さんと市川は似てる、はこういう形で回収するのね。なるほど。原さんとのやりとりを渡さない言い訳にしてたのを、自分から「似たもの同士だから意味の無い問答」にして覆すの、ただただごちゃごちゃ考えてただけだって自分で気づけたからこそって感じ。

 

・逃げる市川を捕まえての「つけて」からの「どう?」。欲しがるなぁ~~~この女!!! 許すよ・・・・・・。市川はすぐに勝手に落ち込んだりするので、もらえるときにもらっときましょう。

 

・「死ぬほど可愛い」。やっとだ!!! 最高!!!! ほんと良かったね山田!!!! なんか知らんけどこっちも泣きそうになったよここ!!!! にしても苦節何年だよ!!! いや作中時間だとせいぜい数ヶ月だし、読者としてもせいぜい一年半くらいなものですけどね・・・・・・。ただやっぱり感慨深いし、そりゃ山田も泣いちゃうよ。念願ですよ。じゃあ次は小細工無しで名前呼びだ・・・・・・。「頑張れ」よ市川・・・・・・。

 

・「死ぬほど」ってワード、初期のツイヤバで「死ぬほど好きだ」があったので、作劇としてはそこを意識してのチョイスだろうか。たしかあれもホワイトデーに投稿されたツイヤバなはず。アレに関してはもうすぐ3年前になろうとしてるので、いやぁ懐かしすぎる・・・・・・。本編は職業訓練のあたりですよ。まだ(私の支持する説では)山田が市川のことを好きにはなってないタイミングだ。

 

・過去話ついでに。「あのときの涙とは違う」の「あのとき」ってのは、まあまず間違い無くバレンタインの夜のことなんだろうけど、私としては冬休み直前の仲違いのことも連想する。あのときも逃げる市川を山田が捕まえてたし。まあ、冒頭でも書いたがここまで「嬉し涙」がなかった(と思う)ので、今までのあらゆる涙と違うとは言える。

 

・ここまで。久しぶりに結構長々書いた気がする。