せんくつにっき

思うこと、感想、とかとか

僕の心のヤバいやつ感想『僕は大人のなりかけ』

・二人の関係性の変化と精神的な成長に加えて、身体的な成長も軸に加えてくるの、なんかすごいいいですね。

mangacross.jp

 ・そうかそうか市川は声変わり前だったか。そういえばお正月に市川が山田を押し倒したとき、市川の喉仏が強調されていたように感じたけど、もしかしたら布石のようなものだったのかもしれない。P2右下の市川も、よく見れば喉仏を多少意識して描いてるように見えなくもないし。

 

・『大人』ってキーワードを、このところ推してきますね。大人になりかけ、大人じゃない、大人になったということでは? 推してきたのは最近だが唐突というわけでもなく、「僕ヤバ 初期 大人」で脳内データベースに検索をかけるとKarte.15の市川のモノローグがすぐに思い浮かぶ。「山田は やっぱり僕らより少し大人なんだ」。今読み返すとまた違った味わいがありますね。あのモノローグもまた、私が僕ヤバを、そして市川というキャラを好きになった要素の一つだ。

 

・中学生なんて、モラトリアムにもまだ遠い。しかし市川くらい(ある意味で)大人びていたり、山田のように外の世界と大人に触れていたりすると、あるいは私が忘れているだけで中学生はみなそうなのかもしれないが、その距離の分、大人というものを強く意識するのかもしれない。それは二十歳前後の漫然とした「このままでは大人になる」というものではなく、もっと憧れという側面が強い。

 

・そんな感じで、じゃあ頭っから行きましょう。個人の感想です。

 

濁川くんことイマジナリー市川、出演のインパクトが強い。そんで出たらベラベラ喋るものだから、セリフ文字数で行くと足立の友達である太田はおろか、神崎くんも食ってんじゃねぇのかこいつ。いやまあ、イマジナリーとはいえ市川、主役の内的存在(内的存在???)なんだから、ほとんどモブみたいなキャラより目立つのは当然なんだけど、しかし冷静に考えてほしい。なんで脳内会話じゃなく実際に目に見える形で顕現して会話してんだよ。漫画的表現にしても状況がナチュラルにイカレてて、これを自然にスルーしてる自分が不安になってくる。

 

・イケるかもって意識はわりと前からあったようだが、やはりお宅訪問を経ると意識にも進展が生まれるようで。まあそれは当然、濁川くん(イマジナリー市川は長いから引き続きこっちで表記しやす)ご指摘のとおり、風呂だのハグだの経験しといて意識の変化が何もないってのはね、地蔵かなんかかって感じだ。しかしあれだな、内面意識だし自分から否定してるとはいえ、市川はもう「もうイケる」と思えるんだよな。まぶしいよわたしゃ。

 

・親に合わせるのを躊躇しなかった……してなかったっけ……? 普通に山田もあたふたしてた気がするけど、まあいいや、前回のもやもやが多少解けた。前回、市川は山田に「噓つかせてごめん」と言っていて、私は発端となった諸々が軒並み山田発の案件なんだから、優しいにしたって市川それはちょっと行きすぎじゃないのと思ったのだけど、市川の認識としてはまず「親に合うのを拒否したのは自分」で、だから「山田はまったくかまわなかったけど、自分が拒否したから山田が嘘をつくことになった」なんだな。非という言葉はズレてる気がするが、隠れる羽目になったのは完全に自分に非があるから、だからごめんってことだろう。

 

・友達の距離感か……? あれが……。読者はもう一年近く前から思ってますよそれ。イマジナリーとは言え市川、このあたりの感覚が共通で、普通の友達の距離感がわからないと。絶妙に役に立たねぇなこいつ。

 

・週明けっぽいですね。ようやくギプスが取れて自転車通学。山田は私が先に~と張り合ってるけど、普通にLINEで報告してると思うんですが、どうでしょう各位。いくら連絡無精の市川といってもね、学校ではいろいろお世話してもらったわけだし。そこは欠かさない義理堅さはあると勝手に思って勝手に行間を読んでいる。

 

・P2左下、汗飛ばしてる山田がかわいい。深い意味も言葉もないですが。

 

・変化に気づいて無造作に近づき、他愛もない会話を笑顔で振り、いつも通りで安心するなどとのたまい……。小林が無意識ながら完全に「男を勘違いさせるムーブ」を取っていて、この子がちんちくりんで良かったよ。しかもこれは全員にやってるのではないのだからね、陰キャはなおのこと勘違いする。まあ市川にはもう山田がいるので効きもしませんがね。

 

・「目は 合わせてね」こ、怖いよ私は……。言葉を交わす必要はない、目を見さえすれば今自分が避けられてるのかまた別の理由があるのか、お前の内心はすべてわかると言わんばかりじゃないか……。いやまて違う違う、会話するのがアレでも、せめて目を合わせるくらいのコミュニケーションは取りたいって乙女心ですよこれは。そうでしょう? 

 

・目が合ったとたん、不安げな顔が晴れるのがいいですね。そりゃ市川も内心もだえる。目を見ればわかる云々は冗談として、山田としてはとりあえず「軽いお願いをすぐに聞いてくれた」ことで、朝に避けられたのがネガティブな理由ではないと確信できたのも強いでしょうね。

 

・隠してる方の目で目を合わせるの、友達どころか恋人でもない、もはやこれはファンサだよファンサ。やられた方もキャーだよ。内心で黄色い悲鳴上げてサイリウム回したでしょ山田。これは比喩です。

 

・図書室。めっちゃ久しぶりの気がするが、前回の図書室は苦い終わり方したからだろうか。

 

・声変わりのことは隠したいが、風邪と勘違いされるのも困る。だから話を逸らしたのに、変わらず風邪と気を遣われたまま。市川の葛藤が見えますね。隠したかったのは「大人になるのが怖いから」だけど、怖い理由が今のところ山田との関係の変化の一点で、微笑ましいというかなんというか。山田と会い、親しくなる前なら、むしろはやく大人になりたいと思ってただろうにね。

 

・精神はともかく、身体的に市川は未熟だ。市川もそこがコンプレックスで、だからこそ「女友達と同じ感覚で~」という発想。声変わりを始めとする「大人への変化」はつまり、市川の男性性が見た目にも表れるということで、「女友達と同じ感覚で自分に接していた」山田が、それによって離れることを怖がっている……なんて、わざわざ書かずとも自明だけど、一応ね。

 

・僕はそれでもいいってのは、これは明確な強がりですね。良いわけがないんだから。この辺の無理をした諦めの良さが市川らしさだが、もっと欲張ってもいいんだよ!!と叱咤したくなる。

 

・そんな苦悩葛藤をよそに、自分ごとのように無邪気に喜ぶ山田。いやぁいい子だ。前もなにかで書いたが、他人ごとを自分ごとのように喜べる人間性と、その関係性が大好きなのだ。俗な意味ではなく、ただ、「尊い」と感じる。それはそれとして「いいなぁ!」のコマ、頭がデカくて見てると不安になってくるな。

 

・わかりやすい大人になった証。山田はなんというか、中身が子供な自分が成長しすぎてるから麻痺してるというか、女性も体つきやらが「それ」なのでは……? とは思います。ただあれか、大人になっても成長しない人もままいるし、そもそもわかりにくいってことか。

 

・折れてた腕が細くなったんじゃなく、もう片方の腕が太くなったと。ポジティブな発想の転換。ネガ寄りの市川には沁みる言葉だ。この二人はいつも互いに互いを救いあっているな。市川はいつも山田に気づかされるし、山田も同様だ。

 

・感動的なモノローグと並行して行われる、明確なセクハラ(腕捕まえてナデナデ)! 市川が嫌とは思ってないのでハラスメントではないか。冤罪でしたごめんなさい。

 

・成長したら山田が離れるかもと怖がる市川に、成長して太くなった腕や低くなった声が楽しみだと告げる山田。最っっっっっっ高。必要な言葉を与えるのは市川からだけではないのだ。ただあれだ、山田の大人の証(ほんとに最低だなこの言い回し!)に触れてたせいで、その場ではあんまり伝わってないのかなこれ。だとしたらちょっと残念。これはうーん……山田が悪いね。自分から触らせてるもんね。

 

・図書室にまで濁川くんが出てくるの、そういう見方しちゃってるせいで、もはやホラー。お前自室限定じゃなかったのかよ!

 

・とりあえずここまで。

 

・扉絵来たのでぼちぼち追記

・な、なんだかわからんがとにかく良い絵だ……なんだかよくわからんが。

 

・違うんすよ、別に考察を投げたわけじゃなく、そりゃ互いの表情だとか水中というシチュとかからいくらでも考えられそうではあるけど、そういうの全部脇に置いて「いい感じの絵だ……」って消費するべき絵な気がして。考えたところで深い意味が見つかりそうにないというのもある。

 

・初めてじゃないだろうか。作中のワンシーンとかでもなんでもなく、今回みたいな本編と直接は繋がらないような「ない状況」が扉絵として出たの。 いつかの、青い蝶が山田の手を離れてくやつも 、あれもまあ「ない状況」ではあるか。ぶっちゃけ「扉絵」として一般的なのはそっちである。謎シチュ、謎コス、謎ポエム。そういえば僕ヤバのこれ、公式から「扉絵です」って言われたことあったっけ? 読者が勝手にそう呼んでるイメージだけど。まあどうでもいいか。

 

・一緒に大人になっていこうね。山田のセリフかな? いろいろ考えさせられる。本編にはないセリフでいろいろ考えるのはちょっとアレな気がするけど、ま、別にいいでしょう。

 

・山田は自分のことをまだ子供だと思っていて、だけど先日の市川の言葉で「大人になっていく自分」を意識することができた。まさに「自分の知らない大人の証」を教えてくれた。示唆を与えてくれた市川は、自分よりとても大人のように感じるけど、それでもまだ大人にはなり切れていないみたいで、少なくとも市川自身はそう思ってるように、山田からは見えているのかなと思う。市川も「山田が自らを子供っぽいと思っている」ことを知っていて、互いに互いの「大人じゃない自分」「子供っぽい自分」「大人に近づいていく自分」を知り合っているからこその、「一緒に大人になっていこうね」。

 

・はやく大人になりたい……とまで思っていたかは知らないが、同級生をガキだのなんだのとひねて見下してた市川が、一転して「大人になるのが怖い」とまで考えるようになったの、恋は人を変えますねって感じだ。「大人」そのものに対する憧憬が変わったようには思わないし、あくまで「山田と離れるのが怖い」の変化形だと思うけど。

 

・大人がどうこうばかり考えてしまい、ほかに書くことがないのでこの辺で。次回予告はまだ来てないが、山田パパの再登場が、というか市川との再会が望まれる。そんな感じで。